2010-06-02

雨のコペンハーゲン空港

トナカイのサンドイッチを食べてたら、コペンハーゲン空港にワープした。

10年ぶりに降り立つヨーロッパだ。私にとってヨーロッパの記憶は、ユーロ通貨の存在する前、国境ごとに両替をして余った小銭で財布がどんどん重くなっていく、その頃で止まったままだ。ある時期までは、1年に10回X5年間、ざっくり見積もって50回は来ているはずなのに、この地の記憶はあまりない。降り立った空港の外に広がる、どんよりと雨雲が立ちこめたモノトーンの世界のように、輪郭がはっきりせずあやふやな感じでしか思い出せないのだ。人間の記憶力なんて全然当てにならない。

空港にはそれぞれその土地の匂いがある、と、どこかで読んだことがあるが、コペンハーゲン空港は、空港ですら北欧的センスが鏤められていて、ゲートの待ち合い椅子も、荷物カートも、ゴミ箱までがお洒落なのだった。アメリカの、甘ったるい匂いのにぎやかで浮かれたエアポートに慣れた目から見ると、ここは、しっとりと落ち着いた、大人な匂いのする空港だ。

行き交う人たちは皆背が高い白人で、空港同様、やはり浮ついた感は全く見せず、モノトーン色のシックな服を身に纏い足早に歩いていく。背の低い、アジア人の、フロリダのネーブルよりも眩しいオレンジ原色のフリースに身を包んだ私は周囲に全くとけ込めておらず、明らかにこの場所から浮いている。

英語でもドイツ語でもない耳に馴染みのない北欧の言葉をBGMに聞きながら、久しぶりに異邦人の感覚を、どこか落ち着かずザワザワとした居心地の悪さを思い出した。

ミュンヘン行きの飛行機の搭乗が始まった。家を出て15時間、移動の旅はまだまだつづく。

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