2011-01-15

ユーコンで犬ぞりキャンプ、締切は1/25

Photo by Yasuko-san


ロハス系雑誌ソトコト2月号の、中ほど地味な白黒ページに、「Super Ecological Tour」として、ちっちゃく犬ぞり企画が紹介されました。
ここ2年一緒に旅している、美人リーダー犬サクラ嬢の写真が、どーんと掲載されています。ぷぷぷ。本屋で見かけたら、チェックしてみてください。


3年目となるユーコン犬ぞりでキャンプ企画は、おかげさまで無事催行は決定しております。
募集締切は1/25(火)。
あと3名ご参加可能です。
飛行機も、現時点ではかなり安い料金で手配できてるようです。


太陽キラッキラ、カリブ海の青が目に眩しい真っ白なビーチ
プールサイドに横になって冷たさが喉に嬉しいマイタイのグラスを傾けながらのんびり読書

なーんていう時間とは180度指向の違う旅ではあるけれど、
キビシイ場所だからこその景色と時間が待ち受けているのです。

今年はオーロラも当たり年のようで、うにゃうにゃ舞っているらしく、それも楽しみ(3/4が新月。今年の日程は、オーロラ観測にぴったりです)

参加者、引続き、お待ちしております。





「春のユーコン:犬ぞり遠征隊」
~ 犬ぞりを操り原野キャンプ、夜空に煌めくオーロラを求めて ~

日本発着最短日程:2011年2月26日(土)~3月5日(土) 8日間
■定員: 8名  残席3
■締切: 2011年1月25日
■発着場所: ホワイトホース(カナダ・ユーコン準州









(昨年参加のYさんのアルバムより)

凍ったユーコンの上を駆け抜ける
聞こえるのは 風の音、橇の音、犬たちの息づかいと足音
犬たちと自分だけの不思議な世界
崖の上からムースの群れがそっとこちらを伺う
青空 太陽の光 ユーコンの広大な景色が気持ちいい


細いトレイルを 森の奥へ奥へと入ってゆく
途中 氷が割れ水が溢れた川を渡り 凍った池の上を走る
アップダウンが激しく 全身を集中させる
激しいカーブや下り坂 何度も転びそうになる
アドベンチャーだ


薪を集める
火を熾す
雪を解かして暖かい紅茶を飲む
何気ないことで笑う
夕食のチキンは焦げていたし
料理に味がついていなかった
けれど
バターシュガー・ポップコーンはほっこりと甘く美味しく
焚き火にあたりながら聞いたSAMのハーモニカと歌は
とても 暖かかった


オーロラを見られないまま最終日
夕方くもり空
もう見られなくてもいいと思った
ユーコンの景色とキャンプと
犬たちと過ごす時間で十分だった。
焚き火を囲んでおしゃべりをする


ふと空を見上げると 空が晴れ 満天の星
SAMが言う「向こうの空が明るい オーロラだ!」
森の切れ間の丘へと走る
北の空が 白い光で覆われていた
白い光はカーテンのようにゆらゆら動く
時間を忘れ わたしは静かに立ち尽くす


こんな景色が見られるのなら
どんなに遠くても
険しい道でも
お風呂に入れなくても
トイレがなくても
暖かい部屋で休めなくても
出かけていくよ



2011-01-14

氷点下10度強風の中鼻たらした無力な自分

Fujimi-daira Campsite, Yamanahsi


新年すっかり明けてました・・・(って、かなり遅いですが)おめでとうございます。

年賀状くださった方々の、「ブログ見てますよ」って一言が嬉しかったです。ありがとうございます。インターネットという大海の中の砂粒のような、小さな小さなこのブログが、独りよがりな独白でなく、誰かに何かが伝わっているとしたら、それはとても嬉しいことです。人は人との繋がりの中でだけ生きていけるから。

2011年も、どうぞよろしくお願いします。

で、ブログは更新滞っていますが、実は、ツイッターは澱みなく動いてます。最近、140字でアップできてしまう簡便さから、連続投稿という新技でミニブログ化している傾向がありますが・・・、細切れの感想だけではどうかと思うので、必要なことは、きちんと時間をつくって、こちらに書きます。
(ツイッター見ている方は、ちょっと見覚えある文章)



わたしは、普段、山だキャンプだアラスカだ、と鼻の穴広げて豪語しているが、実は軟弱都会人を全く捨てきれていない。清潔な糊の利いたシーツに包まって、寒さの心配なしに眠るのが大好きだ。蛇口を捻るだけで溢れ出すお湯でシャワー浴びるのが大好きだ。ボーンチャイナの硬質な手触りの真っ白な皿に、きちんと載せていただく食事も大好きだ。

だから、年始恒例の冬キャンプ登山は、いつもどおり憂鬱な気分での準備から始まった。

いくらマイナス20度仕様の850フィルパワーのダウンがみっちり詰まった寝袋を使うとはいえ、自分の吐く息が結露し、顔の周りがバリバリに凍り、その冷たさで目覚める夜中。テントの中はなぜか結露して、寝返りをうつたびに白い霜がパラパラと降ってくるあの冷たさ。小さなガスバーナーで温めた小さな鍋の中のひと掬いのお湯は、3分もすれば外気の寒さに負けて水に戻る。日本が誇るスノーピーク製のチタンのコップは軽いけれど、金属特有のカチカチとした感触が舌に馴染まない。

さらに、冬山の荷物はびっくりするほど多い。1ヶ月くらい家出するんじゃないかというくらいの大荷物を、部屋を散らかしながら作るのは、結構面倒くさい作業。

ああ、全てが、考えるだに憂鬱じゃないか。

それなのに、わくわくするのは何故だろう。
クランポンをチェックしながら、翌日、この金属のゲタが踏む氷や雪の感触を思うと、うきうきしてくる、この相反する気持ちは何だろう。


都会に住む者の宿命として、山へ出かける日は早起きだ。まだ暗い朝4時半に鳴る目覚まし時計は恨めしいが、朝一番特有の凛とした空気の中、じわじわと明るくなる空を見ていると、眠さも憂鬱さも、すべてのマイナスの感情は消え、気持ちは山へとスイッチが切り替わっていく。


初日、足慣らしに小さな山に登った後、標高1800mのベースキャンプに戻る。
テントの中で、という意見もあったが、風はなくそれほど寒くないし、夕陽と三日月と富士山を見ていたかったので、外での夕食。
午後5時半、日が沈むと同時に寒さが地面から静かに忍び寄る。沢から汲んできた水は1時間でジャリジャリ凍り始めた。コッヘルの底に1センチ残った紅茶は5分後に氷の膜ができた。目深に被った毛糸の帽子から(自分の吐く息でできた)ツララが下がる。

空腹はすべてを凌駕する。しばらくの間、MSRガソリンストーブ特有の、力強いシューシューという音と、目の前にある湯気をたてたキノコ豚鍋にだけ気を取られていた。が、胃袋が満たされ、ふっと顔をあげると、いつのまにか周囲は真っ暗で、ミズナラの枯れ木の奥には、満天の星空が広がっていた。無音の世界を、時折空高くジェット機の音が切り裂く。静かで贅沢な夜。食後の紅茶にウィスキーを少し垂らし、体を温めてから寝袋に潜り込む。


翌日は日の出前に出発。
夜明けのシャクナゲ・トレイルを抜け、朝8時半、標高2300m、遮るものが何もない強風の稜線に出た。寒いー。林の中を歩いているときは、冬山だろうが登りは暑くなる。汗で微妙に湿ったインナーが、今度は体温を奪い出す。立ち止まると寒いのと、さきほど嵌めた指の自由の利かないミトンのせいで、バラクラバ(目出し帽?)やジャケットのフードを上げ下げするのが面倒だが、外気に触れている耳と鼻と頬が痛い。サングラスは汗と息が凍って役立たず、裸眼に雪が眩しすぎだ。ああ、寒くて今度は鼻水が止まらない。ズルズル。

こんな小さな山の、こんな穏やかな日の数時間でさえ、太陽だ風だ雪だ氷だ寒さだと、全然上手に対応できず、自然の気まぐれに翻弄されては、アタフタしつづける自分を、遠くから見つめる別の自分が笑っている。ふふふ、無力なワタシ。


午前9時40分頂上。
標高2599mの山の上からは、空気の澄んだ快晴の空の下、遠く北アルプスまで見える。

往路とは違って余裕のあった帰り道、鼻歌をうたいながら下って行くと、左右にずっと続くシャクナゲの木は、くるりと丸まった葉っぱのその先に、早くも新芽が出ていることに気がつくのだった。




"A ship in the harbor is safe, but that is not what a ship is built for."

アウトワードバウンド(OBS)から頂いた年賀状の言葉。
そうねそうね。凍った寝袋にくるまらないと出会えない景色もあるのだから。
港(文明)のありがたさに感謝しながら、それでも今年も、億劫がらずにガンガン(原野へ)出航しよう。

忙しさとか便利さと引き換えに、沈み行く太陽、濃紺の空に輝きだす三日月の美しさを忘れぬように。



蛇足:
冬山キャンプの極意はバックパックの中のorganize=整理整頓に尽きると思う。