2010-02-27

都会人のための夜の処方箋

カナダの森の奥から 
巣穴でひっそりと春を待つ動物の使者が
アスペンの葉っぱを持って私を呼びに来る

おいでよおいで
僕を探しにおいで

わたしは
マイナス10度の空の下ダグラスファーの木の下で眠れるように
暖かな羽毛のふとんをもって
声の主を確かめに
カナダ行きの飛行機のチケットを握りしめ
出発する


 

都会人のための夜の処方箋 
Nächtliches Rezept für Städter


どのバスでもいい、乗り込む事。
いちど乗り換えてもかまわない。
行先は不問。いずれわかってくる。
ただし、夜を厳守のこと。


いちども見た事の無い場所で
(当件にはこれが必須の条件)
バスを降り、闇の中に
身を置くこと。そして待つこと。

眼につくものすべての寸法を取ること。
門、破風、樹木、バルコニー、建物、
そのなかに住む人間。
冗談でやっている、とは思わないこと。

 それから町を歩くこと。縦横無尽に。
あらかじめ見当をつけないこと。
たくさんの通りがある、じつに多くの!
どの角を曲がろうと、その先にまた多くの。


散歩にはたっぷり時間をとること。
いうなれば高尚な目的のため、
忘れられたことを呼び醒まそうとするのだから。
一時間もたてば十分だ。

 
そのときはもう、はてしない通りを
一年も歩いたような気になるだろう。
そして、自分が恥ずかしくなってくるだろう、
脂肪過多の心臓が。


このときふたたびわかってくる、幸福に眼をくらまされず、
心得ておくべきことが。
自分は少数はなのだ!ということが。
それから最終バスに乗ること、
バスが闇に消えないうちに......
 
 (エーリッヒ・ケストナー Erich Kästner)





2010-02-17

【イベント舞台裏おまけ】From above, everything is beautiful.



From above, everything is beautiful.
From the sky, you're a bit far from pain and ugliness.
 An aerial view makes things more beautiful,

but the commentary brings you back to reality.
 
空から見た地球は
私にとってまさに人生を一変させるような
素晴らしい出来事でした。 --- 監督のことば
 

 
映画ホーム 空からみた地球 (日本語版)
 
HOME (English with subtitles)
 

 
そういえば。
エゾシカの美味しさに惑わされてあまり深く話せなかった(聞き出せなかった)けど、アラスカ、陸からの視点であれだけ美しい場所は、空から鳥の目線で見ていると、それはそれは、気を失いそうなほどの完璧さと繊細さでした。
 
ricky、写真集出版に向けて動いているようで やっぱりこの人には空からの目線で見た世界を発信しつづけてほしいと思うのです。あれだけシカを賛辞しておいて、今更とってつけたようなコメントですが。

浸ること、気づくこと、歩き続けること


大場さんの人柄そのものが印象的でした。すごく大きな人だと思いました」
(参加学生の感想より)



北極南極をソロで徒歩横断してきた冒険家は
「氷河時代をたった一人で何ヶ月も生きていたようなものだ」と当時を振り返る
極限を体験している人が持つ独特の世界観に
今回もまた3日間魅了されつづけた

大場満郎さんはいつだって
大壇上に構えて偉そうに話したり教えようとはしない
ただそこにいるだけなのだが
日々の所作すべてに、気づきの回路が埋まっている
(気づけるかどうかは自分にかかっているという意味では、簡単に教えられるより厳しいのかもしれない)

今回、イグルー作り、犬橇、郷土料理教室、畑作業、かんじき雪上トレッキング、といろいろ雪国体験を組んだけど、そんな小手先のプログラムでなく、本当は、大場満郎氏の世界に浸る時間こそが宝物だった。



3年前、11年間続けた旅行会社の会社員生活に終止符を打ってから
メインである海外旅行の仕事も続けてはいるものの

最近では
チームビルディング研修の現場に携わったり
学生への特別授業を引き受けたり
自然体験プログラムのコーディネートをしたりと
好奇心のままフラフラと動いていているため

お仕事は?と初対面の人に聞かれると返答に困る
何者でもなく何でも屋であるような
やはり肩書きを作った方がいいのだろうか?
分かりやすい名刺を?


バラバラに見えるかもしれない仕事は
だがしかし
私のなかでは筋は通っていて
根っこにあるのは、やっぱりアラスカなのだ

アラスカの大自然が私に教えてくれた価値観は
遙々アラスカまで行かずとも日本でも伝えることはできるに違いない
(一緒に行ければ一番いいけれど、そこには限りがある)
自分の中のチャンネルはいろいろあっていいはず

何かを無理に語ろう伝えようとキリキリせずとも
ただ信じる道を歩き続けていればいいと
今回、大場さんの背中をみて
参加してくれた大学生の感想を読んで確信する

*****

2010.2 早稲田大学国際コミュニティセンター
「アースアカデミー大場満郎冒険学校・2泊3日雪国体験合宿」

・最上町観光協会 まもちゃんのプログラム報告
1日目  2日目  3日目

<参加大学生の感想(抜粋)>
・自分の中にあるもんもんとした考えに対して、大場さんの存在そのものが何かの提示をしてくださったと感じました。

・毎日早く起きて、おいしい料理をたくさん食べて、色々な人と話をして、前向きな気持ちになれた。健康的な生活をするのは大事だと思った。

・大場さんの話:ニワトリよりもタマゴよりも情熱が先。この言葉に勇気づけられました。今就職活動中で、頭ばかり先に動いてしまい、自分のやりたいことを本当にやっていない、やろうとしていない自分がいました。

・伝統的な農業知識で、雪山で生活する大変さと楽しさ、自分の人生に向き合う時の大場さんの情熱。

・パソコンと携帯、すぐ近くにコンビニがあるような都会の生活を抜け出し、違う生活を体験するいいチャンスだった。ふだん身のまわりにある便利な生活に感謝の気持ちを忘れないようにしようと思った。また、さまざまな生き方をしている人々に会うことに対してもっと積極的になろうと思った。

・雪国での3日間の生活を通して、人間が自然の中で「生きる」とはどういうことかを感じ取れた。

・地元の人々との交流では、人と人とのつながりや人の暖かさを感じた。

・自分の道を突き詰める人たちに出会えたことがよかった。大場さんはもちろんのこと、簡単にわらじを編んでいくおじいさんや、踊りを編み出してしまうおじいさんや、地方で新しい観光を目指すスティーブさん、まもさん、伊藤さん。自分の思いを伝えようとコーディネートしてくださったベティさん、今後の自分の生き方について先が見えなかったけど、自分が信じる道を、好きなことを追っていきたいと素直に思いました。

ラーチツリーの下で(犬橇)


2010.2.9  前森高原/山形県

先導してくれたのはグリーンランドハスキー6匹
ジャイアン、ウッシー、サラ、パンダ、カコット & アールボーイ

【イベント舞台裏ver.3】 Live off the land (大地の恵みで生きる)


4日前まで
日高の山を自由に駆けていた鹿は
友人とその師匠に仕留められ切り刻まれ
東京に運ばれた

血が滴る赤い塊は
山手線沿いの裏通りにある小さなカフェの厨房で
イタリアン・シェフの魔法の手によって美しい芸術作品として生まれ変わる

鹿から皿まですべてのつながりが見えるこの日の食卓は
とても美しく
そして単純に美味しかった
 
アラスカの写真も冒険談もネイティブ村の話も
本当はいらなかったんじゃないか
この食卓を囲むこと
それだけで
野営飛行舎の今回のメッセージは十分に完結していたのに と
欲張りで知恵浅い自分のコーディネート力を呪う
 
 
2010.2.12 目白SOiL CAFEにて
野営飛行舎2009年度アラスカ飛行報告会 開催
40名の賛同者とともに
シカ3頭をいただく


Special Thanks to:
参加いただいた皆様
北海道のエゾシカ3頭
無理なお願いを聞いてくださったSOiL CAFEのスタッフの方々
運営協力してくれたボランティアの友人たち
写真 たけなべ氏

開催正式報告: ricky