2010-01-31

Blue moon let me edit a new album, 'Kiss the Sky'



今月二回目の満月だった昨晩、月の明かりを背中に受けながら、深夜、黙々と作業に励む。今年の歩く道をつらづらと考えながら。

photo+word album : Kiss the Sky (2009夏北極圏空の旅)

2010-01-20

【イベント舞台裏ver2.】2/12命を喰らいにきてください

自分の力で十分に語る自信がないので、人の言葉をお借りします。

「ぼくたちアイヌにとってクジラは親しいものでした。・・・肉はありがたく頂いて、魂は神の国にお送りする。・・・肉や脂をもらうのは、同じこの世界に生きる仲間だからなんです。・・・アイヌは口に入れるものはすべてありがたいと思って口にいれた。自然から奪ったのではなく頂いたのだと」

「小さな社会ではそれができる。狩猟採集社会では食物の獲得から消費までぜんぶ見える。しかし現代のグローバルな社会では食べ物はいきなり目の前に現れるんだよ。もとの生きた動物や植物としての姿は見えないんだ」

(「氷山の南」池澤夏樹、東京新聞朝刊連載小説より)



正直なところ、あんまり得意ではないのだ、わたしは。

東京という大都市、「現代のグローバルな社会」で育ってきた自分にとっては、肉はスーパーの明るい蛍光灯の下、陳列棚に食べる分だけのサイズで発泡スチロールに乗っかっている赤い切れ端の方が安心するし、野菜は、土やイモ虫なんかついていないキレイな状態で、やっぱりスーパーの棚の袋に3つ4つ入っていてほしい。

さっきまで森の中を歩き回っていた「かわいらしい」動物をバラバラに切断し、血を抜き、皮をはぎ、毛をバーナーで炙ってきれいにして、よく研いだナイフで切り分ける、という状況には、できれば近づきたくないし、

人参が茶色い土の中に埋まっていて、お金出さなくても、土を掘れば食べ物がでてくる、という方に、感覚的に違和感を抱いてしまうというのが本音だ。


ただ、アラスカを何度も訪れていると、「俺が取ってきたんだよ」という、クジラ肉やトド肉やムース肉やカリブー肉でもてなされる、というの洗礼を受ける機会は一度や二度ではおさまらない。もし、偶然に、肉の解体中に遊びにいこうものなら、肉を切り取って1ポンドの塊をジップロックに分ける作業を一緒になって手伝うことになり、慣れていない大きさの、存在感溢れる赤い塊に半分気が遠くなりながら、ナイフを入れることもある。

ただ、そうやっていただく食べ物は、普段のスーパーで買うものとは全く違う種類のものなのだ。

食物と私のあいだに普段存在している、貨幣という得体の知れぬ仲介を取り除くと、世界は単純にわかりやすくなる。自分が口にするものは「大地からのいただきものだ」という紛れもない事実を、否が応でも、確実に認識させられる。少しコワイとビビりつつも、肉の塊にさわり、自分が何を口にしているのかを知ることは、絶対的な安心感を感じる行為だった。

この感覚を覚えてからというもの、肉を自分で獲りにいくことはさすがにないが、時間をお金で買わなくて済む限りは、コンビニエンス・ストアに並ぶ、どこからやってきたのか全くわからない弁当には、手を伸ばせなくなった。

それらが、とても便利なのは100も承知のうえで、さらにいえば、自分もその便利さを十分享受しているというのを認識した上で、かなり勝手な言いぐさではあるけれど、その不自然な便利さには、敢えて疑問を投げかけたい。肉も魚も野菜も穀物も、できるかぎり、最初の状態から近いところにあるものを選んで口にしたい。


食べ物はスーパーの陳列棚に並んでるとしか、普段認識できない都会人には、ときおり、命を喰らう機会があったほうがいいのだと思う。


===2009年度アラスカ飛行報告会 ===

下記日程にて、野営飛行舎2009年度アラスカ飛行報告会を行います。

準備の都合上、参加のご連絡は、1月31日(日)までにご連絡いただけますと助かります。(会場の都合上、参加いただける上限人数を決めていますが、早くも残席少なくなってきていますので、どうぞご予約はお早めに)

当日お会いできますこと、楽しみにしております。

日時 :2010年2月12日(金) 20:00-22:00 (19:50受付開始)

場所 :SOiL CAFE (目白駅徒歩1分)
    豊島区目白3-14-19 / 03-5982-8885

参加代金: 4,000円+ドリンク代別途 (Cash On 500円/drink)

内容:
ブッシュパイロット湯口公氏の2009年アラスカ夏の飛行報告(聞き手:青崎涼子)
北海道で今年獲れたエゾシカ・ジビエ料理を含む立食パーティ

お申し込み: 1/27付、満席となりました。Thank you for all!






2010年「氷河を海から眺めたい!」

by Gunnar Cantwell

ここ数日、嬉しいことにアラスカ・シーカヤックの旅企画の問い合わせ・・・、「今年はやらないのですか」と、相次いでいただいてます。ありがとうー。

公式募集ウエブサイトは間に合っていませんが、日程はすでに決まっているので、先出ししておきます。

ご興味ある方、8/14-22まで、手帳に矢印引っ張っておいてください。Wish Listは、「いつかいつか」と思っていると、いつまでも実現できないので、あまり深く考えず、さっさとスケジュールを組んでしまうに限ります。予定を入れれば、人は、そこに立ちはだかる障壁・困難に向かって、いろいろと悪知恵を働かせるものなので、まあ、何とかなります(今までの実感より)。

周囲はそんな私を「迷惑なヤツ」と眉をひそめるけれど。
ま、いいの。


「氷河を海から眺めたい! 夏のアラスカ シーカヤックキャンプ」
~ シーカヤック、原野キャンプ、氷河、海の野生動物 ~

■日程:
2010年8月14日(土)~8月20日(金) 7日間
*2010年8月14日(土)~8月22日(日) 9日間 (日本発着最短日程)

■発着場所: アラスカ州アンカレジ(アメリカ)

■昨年のリポート
http://aonodokutsu.blogspot.com/search/label/Kayak
http://blog.goo.ne.jp/zutto_kitto/m/200910  (←参加者ブログ)

■お問い合わせ、お申し込み 
(株)エクスプローラ「地球探検隊」 03-3353-4455,  mailexpl.co.jp



「世の中は、「提案」に満ちています。あらゆる人が何かいいものを持っているし、誘われた場所には行ってみればだいたいは面白い。でも、できることは限られているから、自分を采配していかなければなりません。いろいろ未練もありますし、逃した魚ほど大きいとかも考えがちでしょう。いろいろありすぎる「提案」を知れば知るほど、決断はしにくくなる。

そういう状況のなかで、「優先順位」を決めていくというのは難しいですが、僕個人は、「やりたければやる」「選びたいものがあったら、もっといいものを待つよりも、すぐにやる」という方法論をとります。網羅的でもなく、情報選択の幅を狭く限定するのでもないやり方とは、やりたいことを逡巡しないでやってみて、「まともに間違う」こと、そして、次の何かを待っているよりも早く成功なり失敗なりをして、「何度でも試す」という方法なのではないでしょうか」
 --糸井 重里 「インターネット的 」

2010-01-15

【イベント舞台裏ver.】2/12空から眺めたアラスカは



Twitterが流行っている。

というのは正月に書いたばかりだが、この「つぶやきブログ」には、今宇宙にいる宇宙飛行士たちも参加していて、野口さんも、時折ぶつぶつ言っている。

宇宙といえば、去年手にした、立花隆が宇宙飛行士たちをインタビューした本が思い出される。今、あいにく本が手元にないので、amazonのレビューからその内容を勝手に引っ張ってくると、

「宇宙飛行士の中に、宇宙から帰ったあと宗教家になった人が何人かあることはよく知られている。このことから立花隆は、アメリカの宇宙飛行士達に直接インタビューし、彼らが宇宙においてどのような精神的な体験をし、その体験が彼らをどう変えたかを聞き出した。

宇宙飛行士のほとんど誰もが、彼らの人生感を大きく変えるほどの、精神的に深い体験をしたにもかかわらず、お互いにそれを話題にしたことがなかったという。またNASAでも、宇宙飛行士から徹底的なヒヤリングを行うが、彼らの精神的な体験についてはほとんど調査が行われてこなかった。彼らはそのことを人に伝えたかったのだが、聞いてくれる人がいなかったために、話す機会がなかったのである。

多くの飛行士は、地球の美しさと宇宙の闇の深さに、大きな衝撃を受け、地球が宇宙の奇跡として存在しており、そこに人知を超えたある意思がはたらいていることを感じている。

正確ではないが、宇宙を体験するとは、地球での常識がまったく通じないところで、世界観がひっくりかえる体験で、ひいてはその後のその人の人生をも変えていった、その細かな感情の変化を上手に聞き出している本だった。」

と、長すぎる引用で失礼、ってな具合だが、まあ、そういう内容なのだ。



翻って話は地球へ。

昨年の夏、「アラスカの女神様に微笑まれた」私は、ゲストとして1週間北極圏・空の旅をするという僥倖を味わった。多少の感想はこのブログに書き散らかしたが、突然やってきたこの出来事は、もう7-8年アラスカを訪れつづけ、「だいぶこの土地のことも分かってきたかも」という独りよがりな思いこみを、軽くひっくり返してくれる体験だった。

うまく説明できないのがもどかしいのだが、このフワフワとした感覚は、北極圏という、本当に人間がまだ手をつけていない土地の力がそうさせるのか、それとも、普段とは違う3次元の視線が原因なのかはわからないが、とにかく今まで経験したことのない、考え方の「核」に影響するような、衝撃的な体験だったのだ。

たった1週間でそこまで衝撃を与えてくれる空の時間を、ここ何年も、自ら操縦桿を握り、夏の間ずっと、空の上で過ごしてきた人間というのは、いったい何を思っているのだろう?

と興味がわくのは、自然な流れじゃないだろうか。


ところが、このジプシー飛行家は、空から地上に舞い降りて二次元の世界に戻ってきたとたん、人が変わる。酒と鉄砲とシカに囲まれていれば幸せな、しかも時折、品のない話をして喜んでは私を困惑させる、作業着と長靴がこのうえなく似合うこの田舎のオッサンは、いくら私がマジメな顔してテツガク的な話を聞きだそうとしても、ノラリクラリと、かわしてしまうのだ。

まあ、そう、こ難しいこと言わずに、写真や映像でも見てなよ、と撮ってきたDVDを渡され、そこに映っているのは、確かに美しいアラスカ空撮映像ではあるのだが、私が知りたいのは、見てきた景色ではなくて、(そんなキレイな景色は、ナショナルジオグラフィックの写真で十分)、あの場所で数年間過ごしているからこそ持ちえるであろう、内に秘めた世界観。あの二人乗りの頼りない飛行機で、アラスカの気まぐれな空を、「死線」を彼方に見据えながら飛び続けている、そのヒリヒリした情熱、であるのに。

ああ、「隔靴掻痒」って、こういう場面で使いたい言葉・・・、と、常々もどかしく思っていたら、来月、東京にやってくるという。(ジプシー飛行家は、普段、冬の間は北海道の山の中でシカを追っかけている。)

お!こりゃまたとないチャンス、と、いうことで、元・イベンター(5年半働いていた地球探検隊は旅行系イベント会社・・・)の腕を活かし、逃げられる前に、さっさと場をセッティングしてしまうことにした。
今回こそ、上っ面のキレイな話に逃げられないよう、突っ込んで、もう少し深いところまで聞き出してみせよう。立花隆のようにスルドクスルドク。



このブログを読んでくださっている方は、極北ファンが多いと思うので、このイベントよ届け、という念を込め、裏方担当の私からも、募集記事を掲載します。

ぜひ参加してほしい方が何人も脳裏に浮かんでおりますが、直接ご連絡していない無礼をお許しいただき、どうぞ、ピン!と来た方は、2月12日、ぜひ目白に足をお運びください。お待ちしております。


PS:
この報告会ではシカの試食会も同時開催。「自分で取ってきた食糧をいただく」という視点は、極北で幾ばくかの時間を過ごした者ならば、多分感じるところのある考え方であるはず。という切り口からも、このイベントは意味をもっています。その辺については、また気が向いたら、書こうと思います。

まあ、エゾシカは、ぐるなびでチェックすればすぐに分かると思うのですが、東京ではとても貴重な高級食材という下世話な情報だけ、とりあえずお伝えしておきます。(こんな値段じゃ食べられない!)

企画・運営担当  青崎 涼子



===野営飛行舎 2009年アラスカ飛行報告会のご案内 ===

下記日程にて、野営飛行舎2009年度アラスカ飛行報告を行います。

準備の都合上、参加のご連絡は、
1月31日(日)までにご連絡いただけますと助かります。
(または、会場の広さの都合上、先着30名さまで締め切ります)
当日お会いできますこと、楽しみにしております。


日時 :2010年2月12日(金) 20:00-22:00 (19:50受付開始)

場所 :SOiL CAFE (目白駅徒歩1分)
    豊島区目白3-14-19  / 03-5982-8885

参加代金:  4,000円+ドリンク代別途 (Cash On 500円/drink)

内容: 
北海道エゾシカ・ジビエ料理含む立食パーティ 
ブッシュパイロット湯口公氏の2009年夏の活動報告(聞き手:青崎)

お申し込み: 1/27付、満席となりました。thank you!




2010-01-13

Winter Camp


@Tengu Mtn. Jan.2010

青と白2色の世界が好きなんだ。
穢れなき場所が。

2010-01-12

標高2646mのシワ無きシャツ


@Top of Nishi-Tengu Mtn.  Jan.2010

「好きなことを好きな場所でやるのは清々しいでしょ?」と、キャンプ道具冬山道具一式に加え、アイロン台とアイロン背負って登るバカがここに一人。

雲海の上、標高2646mの山頂朝8時、アイロンを温め、帰りに着るシャツのシワを伸ばす。





せっかくなので、私も初挑戦。
今年も、バカバカしいことを真剣にやっていくのだ。そうなのだ。



2010-01-02

Blue Moon

ふっ、と。
何かに誘われるように目が覚める朝4時55分。ふだんは、放っておかれたら、地震がこようと火事になろうとびくともしない、8時間完全熟睡型な私には珍しい、早朝の自然な目覚め。

乾いた喉を潤しに、キッチンへと向かう。この時期は、まだ闇の時間帯なはずなのに、何かが違った。西向きに面した大きな窓枠の黒い影が、微妙に明るく光るフローリング床にゆらゆらと反射している。不思議に思って窓の外をのぞくと、オレンジ色に燦然と輝くまぁるい月と、目が合った。

これほどに明るい夜は、月光の明るさだけで雪の上を歩き、そしてやわらかな月光に包まれて、雪の上で眠りたい。


1ヶ月に2度満月がくる、2度目の満月のことを、Blue Moonと呼ぶのだそうだ日本は1月(1日と30日)だけど、時差によっては、大晦日、ちょうど年の境目が、Blue Moon、だなんて、なんだか素敵な1年の始まり。



2010年、あけましておめでとうございます。今年も北海道産小豆を、きび砂糖でコトコト煮たお汁粉は、ほんのり甘く、いい具合に作れました。

早速いただいた年賀状には、(私は気分が暮れ押し迫らないと年賀状、2010年への気持ちを書き出せない気質なので、元旦に届く年賀状には、頭が下がります)、「今年はどこで年越しですか」「またアラスカでしょうか」と書かれているものが多かったのですが、2010年は、東京の自宅で、地味に小豆を煮て年を越しました。



ほんの数年前までは、ニューヨークやグランドキャニオンやカリブ海やアラスカでオーロラ見ながら、と、バタバタと海外に飛び、0時になるとクラッカーを鳴らしシャンパンで乾杯して、と、(まあ、仕事とはいえ)、派手な年越しに命をかけていた自分が、小豆を煮て家でしっとりと年を越すのも悪くない、と思えるようになるなんて、大人になったのか、年をとったのか。

でも、私にとって、「ハレ」の地であるアラスカが、「ケ」である東京の日常生活を変えたのは事実で、彼の地にいれば、すべては祭りのように分かりやすく感動する景色と毎日だけれど、この、排ガスでいつもくすぶった青色の東京の空の下においても、細やかな感動と美しさは、意外と多く転がっているものだ。その美しさの欠片を、日々丁寧に拾えるようになった自分は、やはり大人になったんじゃないか、と思うのだ。


このブログを更新しないのは、やはり、ここでは、しっかりと「ハレ」な場所を描きたいと思うからで、東京の日常生活の小さな毎日の欠片は、ここにわざわざ載せるまでもない。毎日のだらだらした日記には、意味がないと思うから(それは日記帳に個人的に書けばよい)。

ところが、今年で使い始めて3年目になるtwitterは、140字という文字制限が、俳句川柳のようであり短歌のようであり、心動いた瞬間を切り取っていくには絶好のツールだと最近気づいたのだ。



というわけで、ここに更新するまでもない「小さな欠片たち」は、下記のページで淡々と拾い集めていますよ、というお知らせで、年の初めの挨拶とさせていただきます。今年もよろしくお願いいたします。

http://twilog.org/wildernessryoko (ブログ形式)
http://twitter.com/wildernessryoko (twitter)