2011-12-16

Something new in December



さて、12月。新しい分野に挑戦です。

 “やる気を刺激する”新しいスポーツWEBメディア&SNS" onyourmarkで、写真コラムを掲載させていただくことになりました。
テーマは、今まで極北でやってきた、あれやこれや。
うー、ちょっと文章堅いし、気取ってるな・・・

今後は隔週火曜日に掲載なので、次は12/20の予定です。



どこまでいけるか、ウルトラマラソン気分で頑張ろう〜
(打ち切り関門に引っかからないよう、沿道の皆様、旗ふり声援、どうぞよろしくお願いします。)

2011-12-02

【お知らせ】ユーコンで犬橇キャンプとオーロラを2012


ブログが月刊誌みたいになってきて、更新頻度遅く、しかも一度にドカン!ですみません。ツイッターも自動転送なので、今日はつぶやきすぎてすみません。

犬橇キャンプ、静かに発表しています。

多分、犬橇を体験してみるとすぐに分かりますが、このハーネスつけた彼らの後ろ姿に、キュンとなります。ほれぼれする頼もしい背中。

たった1週間に、いろんな大切なものが詰まっていますが、それを見つけるのは自分自身。人の感想は読まなくて構いません。毎回、いろんな条件が違うから。

あんまり、こちらから「ねえねえ見て見て、いい場所ですよ!」と押し売りはしたくないのです。あ、いいかも、とタイミングがあってピン!と来た方だけと、こっそり行きたい場所だから。(すごく勝手な言い分だけど。そこは微妙なバランスなの。だからお金儲けできないの。)


ご質問などある方は、どうぞ直接メールください。
wildernessryoko (at) yahoo.co.jp




「春のユーコン:犬ぞり遠征隊」
~ 犬ぞりを操り原野キャンプ、夜空に煌めくオーロラを求めて ~

■日程: 2012年3月24日(土)~3月30日(金) 7日間
日本発着最短日程:2012年3月24日(土)~3月31日(土) 8日間
■定員: 4~9名
■発着場所: ホワイトホース(カナダ・ユーコン準州)
■同行予定: 青崎涼子
■主催: MUKTUK ADVENTURES
 more info...

美しい軌跡を描きたい(朝霧ロゲイニング2011)


昨年、うっかり優勝した美酒が忘れられずに今年も参加。
富士山の麓で朝霧ロゲイニング5時間。

ロゲイニングがどんな競技か、については、もうこのブログではかなり説明してきたけれど、今年の気分で再度説明すると・・・

「2人以上のチームで手を取り合い、地図とコンパス片手に、等高線と睨めっこしながら薮の中を走り続け、足や服がイバラで傷だらけになっても小さなことは気にせず、コースセッターがニヤニヤしながら隠したであろうオレンジ色の旗を、沢山触って、制限時間ぎりぎりちょっと前に戻ってくる」遊び。ただし、イバラの道が怖いファミリー向けに、街中簡単ポイントも、ちゃんと用意されている。
(←かなり偏りあり。正式な説明はこちらをどうぞ)。

道路沿いでなく、薮の中に隠された、30センチ四方の小さなオレンジ色を見つける難しさを知っている我々チームは、体力勝負に出て、分かりやすい町の中を、バタバタと走り回る。残り1時間半の時点で、あ、このまま街にいては時間が余ると気付き、急遽作戦変更、コンパスと高度計と睨みっこしながら、イバラの道へと、恐る恐る点数を取りに行く。

「この林道、つぎの右カーブ曲がったら5ミリ・・・120m進んで、右に」
「あ、獣道っぽい踏み跡、発見」
「ここから東に直進600m、高度差は50mね!」

と、体よりも頭フル回転させて進んだ先には、ちゃんと地図通りに窪地があり、目指す旗が待っていた!そのポイントは、たった21点ではあったけれど、私にとっては、210点くらいの価値だった。

あの瞬間、私は、「イバラの道は、街の中より100倍刺激的で楽しい」、と気付いてしまったのだ。





結果は、333点で、優勝チームから21点の大差をつけられ、女子2位。
(似合わない大胆不敵なチーム名は、私のことでなく、いつも移動途中で立ち寄る富士宮焼きそば屋の名前です)




女子優勝チーム(オリエンテーリングの日本代表)に、軌跡を描いてもらった。
果敢なイバラ道攻め。美しい。(私たちは左半分の街が多かった)

点数だけでなく、点の取り方で、全く持って完敗です。


だいたいにおいて、道なき道は楽しいものなので、イバラ道、もう少し勉強しようーっと。





備忘録:
経路)S-5-6-9-15-(8は小さい点だからとあえて落とす、が落とす必要なかった)-1(早すぎて豚汁できてない。無念だ)-3-10-29-14-17-30-32-25-16-13-(この辺で4も飛ばすが、走力あれば取れる位置)-22-23-19-(ここで残すのが1時間半。予定変更、薮へ)(でも7と20は自信なくて取らなかった。ルート上なのに!)-21-12-11-goal (TTL:333, 35km )  (計算ミスと走力不足と読図力不足で落としたのが、8,4,7,20=39PT)

反省:マイクロ読図力がまだまだ足りない。地図上3mmの地点まで近づいて探すのではなく、1mmも誤差なく旗に突進できるように。

将来の自分への申し送り:迷いなくCPへ辿り着く。もっと時間ぎりぎりに使う。タイツと服は、破けても悲しくならないボロ服を着る。ファーストエイドキットは、重たくても持って行く。水は500cc、足りなければ途中で追加。メンバーで持ち物共有。一人が水ならもう一人はコーラ!ゴール付近は最後の時間調整に取っておいて良し。コンパス落として壊れたが、落とさない工夫を。

喉元過ぎて熱さ忘れた(伊南川100kmウルトラ遠足追記)


もう1ヶ月前に。
100キロ走った、ゴールの写真が、先日家に届いた。主催者からの嬉しいプレゼント!

うーん、懐かしい。
あんなに途中辛かったのに、「あー、またゴール踏みたいなー。(しかももっと遠い距離で)と思ってしまうのは、私の記憶力に問題があるのだろうか。あの、20キロや30キロや60キロ地点で辛かった時間を、すでに忘れかけているなんて。
足の爪、今でも1本ないし、2本黒いままなのに!



このウルトラマラソンの後、こんなマゾっ気激しいイベントを企画している(私的に命名:ウルトラの父である)海宝さんと一緒に酒席を囲む機会(詳細報告こちら)をいただいたのだが、

「いやー、ゴールの瞬間は、みんな、最高にいい顔している。全員のその笑顔を見られる僕は、役得だよね」と笑っていた。「体には悪いけど、心にはいいんだよ、ウルトラは」って。



「人間は弱い生き物だから、他人の目を入れることで頑張れる、っていうのは大きいよね。大会だから走れるというのは、多いにある。でも本当は、その人の想いが、情熱が、十分に強ければ、人の視線は関係なくなる。ただ黙々と、自分で設定したゴールに向かって、静かに進みつづけている人は沢山いる」


はい、さすがのお言葉。

走る事に関しての情熱は、自分にとって中くらいなので、これからも、どんどん、他人の目を利用しながら、ええ格好しいな性格を上手に使用し、本当はキツくてもクールな感じで、走っていこう〜。巻き込まれてみたい方、ぜひご一緒にいかが?


(・・・UTMF100mile抽選結果待ち。)

NPFPご報告:Passion&Action



4月から始めた「極北の写真をPCの壁紙にして、そのかわりに震災のための寄付をしよう」NPFPプロジェクトは、最終日の11月11日までに、合計126名(延べ人数)、721,000円のゴールで終えることができました。

ただの思いつき、全くのゼロからのスタートだったのにも関わらず、たくさんの方の応援、ご協力をいただき、本当にありがとうございました。



人任せにせず、自分が主役(リーダー)になること。
その想いにブレがなく情熱があり、真摯な気持ちで取り組んでいくこと。



ホント、ベタでどうしようもない結論ですが、この二つ、Passion & Action があれば、物事はあるべき方向へ勝手に転がっていくのだな、という事実を学べた8ヶ月間でした。

震災の傷は、まだ全てが癒えたわけではない。
その事実を忘れず、NPFPプロジェクトは終っても、よき誰かのフォロワーとして、私らしく、考え、行動しつづけていくこととします。

山へ、きのこを


日本の山間には、「限界集落(65歳以上の高齢者が地方自治体総人口の過半数を占める村)」と呼ばれる場所が増えているらしいが、そんな場所のひとつに出かけた晩秋の1日。




 里山の奥に、ざくざくと落ち葉踏みしめながら入り込み、自然が育んだ恵みのお裾分けをいただきに。(収穫に夢中で、カメラ出すヒマほとんどなかった・・・)





東京で、雑誌や口コミで噂のレストランに、着飾って(ないけど)出かけ、こぎれいなお皿にチョコンと乗っかってキラキラ輝く料理も・・・、決して嫌いじゃないんだけど・・・、(都会は、最近、私には似合わないし、人混みはちょっと疲れるけど・・・)

きのこ収穫後に、青空の下でいただいた昼食。
南魚沼自家田んぼの米からできた、おばあ手作りおにぎりと、11種類の具沢山けんちん汁(1車麩、2厚揚げ、3竹輪、4大根、5人参、6芋、7葱、8白菜、9なめこ、10さやいんげん、あと1つは思い出せない)の、口に入れた瞬間に、脳内と舌と胃が一緒になって叫び出す、

!!!!!!

な、あの美味しさといったら!

シンプル イズ ビューティフル。




村を離れるとき、案内してくれたオジイが、「ヘースブックで、ヘースブックでまた会おうな〜」(←Facebookやってるとは、じいちゃん、意外とモダン)と、握手してくれた。

しわの刻まれた山の人の働き者な大きな手の温もりが忘れられず、家に帰って速攻でオジイことショーイチさんに、Friends Request。また貴重な友達ができた、大切な日。


ショーイチさん、清水の谷間は、もう雪景色でしょうか?


巻機山の源流なめこ

2011-11-02

サンタクロースさん、仕込みの時期がやってきました!

2007.8 マタヌスカ氷河。この景色は夏だけど。
もう11月だ!早い!
みなさま、すでに恒例行事化してきた、あの季節ですよ!




サンタクロースの皆様へ

オーロラクラブ
って、耳にしたことありますか?

星野道夫さんの遺志を引き継ぎ、毎年3月、子供たちをアラスカの氷河の上に連れて行くボランティア団体。

かわちょとか、いくちゃんとか、willとか、友人たちが関わっているこのオーロラクラブを、私も数年前から小さくお手伝いしています。

わたしの大好きなアラスカ。
その場所に立っているだけで心が苦しくなるような地球の宝石のような景色たち。

あの場所に、
まだスポンジのようにフカフカにやわらかい心を持つ子どもたちが降り立って、
見渡す限り雪と岩と氷の世界で過ごす1週間。
彼らは、あの地球の奇跡のようなアラスカからの贈り物を受け取り、
いったい何を感じ取るのでしょう?


オーロラクラブでは、毎年星野さんの写真カレンダーを販売し、
その利益を活動資金に充てています。


サンタクロースっていうのはね、「Giving」の心を、分かりやすく目に見える形にしたものなんだよ、と、アラスカに住む小さなしろくまさんから教わったのは、いつのことだったでしょうか。

このブログを目にしてくださっている(きっと北の大地好きの)方へ、こどもたちに、アラスカの景色をプレゼントするサンタクロースを、大募集したいと思います。

サンタクロース代理店より



*(ここから蛇足)*

しかも、毎年言ってますが、このカレンダーは一石二鳥どころか、鳥がたくさん。ほんわかとした、幸せな気持ちがあっちこっち行き来して、自分も嬉しく、とてもお買い得、なのですよ〜。

1、1200円で12ヶ月。e.g.たった1ヶ月100円でデスクの横にアラスカの風が吹く。複雑な仕事でついキィーッと荒みそうになった心を、机の片隅の大きな風景がなだめてくれる。

2、その月が終わったら、カレンダーをポイすることなく、はさみを取り出し絵はがきにチェンジ。心にふと浮かんだ、最近会っていない、ごぶさたの、でも大切な誰かの住所と名前を書いて、ポストに投函。久々につながったその人は、アラスカの澄み切った空気ににっこり。



*(お申し込み方法)*

11月20日までに、wildernessryoko [a] yahoo.co.jp ( [a]=@) あてに、
お名前、希望冊数をお知らせください。
折り返し、お振込み、送付などの詳細ご連絡します。




*(商品詳細)*




■卓上型カレンダー
■サイズ 105mm×205mm,プラスティックカバー付き
■表紙も含めて計13点の星野道夫作品が収録されています
■各月のカレンダー部分を切り取れば、ポストカードとしてもお使いいただけます
1部 1,200円 (送料・消費税込)


*(プレゼントを受け取ったこどもの声)*

「犬ぞりっていうと犬が走らされているのかと思った。だけどそれは私の勘違い。犬は走りたかったんだ」
「人間の生きる基本を知った」
「月明かりがまぶしいなんて初めてだ」
「骨の髄まで浸透してくるルースの寒さと荘厳で壮大なオーロラにふるえた」
「ビデオなどとちがって音がなく、しいんとしずまりかえっていて風もないのになびいていました」
「目を開ければ自然のままの大きな大きな山がある。ずーっと見てても飽きないし、どんどん感動が大きくなっていく」
「水と食料と、適度な温度と人さえいれば、他に何もいらないと思った」
「目が覚めたときに起きて、食べたいときに食べる。寝坊も夜中のお菓子も咎められないなんて、素敵すぎます」
「一番楽しかったことは、生きていくために働くことです」・・・

【予告】ユーコンで犬ぞりキャンプとオーロラ3/24-31



■日程: 2012年3月24日(土)~3月30日(金) 7日間
日本発着最短日程:2012年3月24日(土)~3月31日(土) 8日間



ウエブサイトがまだ出来ていませんが、今シーズンも引続き、あの寒くて可愛くて美しくて肉球が恋しくなるプログラム、もうすぐ発表します〜。



*今年度参加者の声*


*本当に来てよかった。間違いなかった。
人、犬、自然の調和がとても良い場所で、たくさんの愛を感じられた。


*犬たちのかわいさと賢さに感動した。
想像以上の環境の良さに感動し、
外のキャンプに行ってキレイな風景に感動し、
オーロラのきれいさに感動し。
そして、そして、文明の有り難さに感動した。


*今年はとても寒かったので、キャンプ1泊目の次の朝が、死ぬほど冷えた。でもオーロラがその寒空の中で輝いていた。


*ずっと天気が良く、本当に爽快感があった。犬ぞりは楽しく、しかも安定感があって、走っているときに危険を感じたことは全くなかった。オーロラは幻想的で、しかもどんどん形が変わっていくのは、本当に素晴らしい眺めだった!

大震災写真プロジェクトNPFPは、108名655,000円の愛!




極北を愛する人の東日本大震災写真プロジェクト #NPFP
・・・立ち上げてから7ヶ月経過。

これまで、募金、作品提供、ウエブ作成、フライヤー作成、そして告知等、さまざまな形で関わってくださったすべての皆様。

本日11/2時点で、こんなにも大きな輪に成長しましたよ。スゴイ!
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http://justgiving.jp/c/6050

現在の寄付金額:655,000円
応援してくれたサポーター数:108名
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(集まった義援金は、全てシビックフォースへと託しており、彼らの活動報告は、こちらにてご覧いただけます。)


一人ができることは小さくても、みんなが力を合わせると、大きな力になる。
その事実を実感できた7ヶ月間でした。


ただ、始まりがあれば終わりもある。

最近、動きも随分と静かになってきたこともあり、
このサイトは、震災8ヶ月目となる、

11月11日(金)

にて、閉鎖したいと思います。


東京にいると、もう普段の生活に戻ったような気もしますが、被災地に目を向けてみれば、まだまだ完全な復興への道のりは遠い。今後も、自分にできることは何だろう?という気持ちを持ちながら、またいろいろな形で、協力&応援をしていこうと思います。


快くご協力いただいた皆様へ感謝の気持ちとともに。

ありがとうございました。

2011-10-26

体を肥やし、心を肥やし(東芝地球未来会議2011)

Act Eco Journal

バンコクの洪水が心配。



8月にファシリテータとして参加した、「東芝地球未来会議 in タイ」の開催レポートページが完成していた。
http://begoodcafe.com/act2011



わたしはタイで、美味しい食事とシンハービールに浮かれまくり、2週間で3キロ肥えて日本に戻ってきたのだが、参加した高校生たちは、心を肥やして戻ってきた。ヨカッタヨカッタ。




ツイッターで参加者(高校2年生R君)とのやりとり。

R: タイいく前といまじゃ確実になにかかわりました。やりたいことも確実になってきたし、これからもっと目標にむかってがんばらないと。勉強。

私:お疲れ様!

R:本当に感謝感謝です。高校生活一番の思い出になりました(お世辞とかではなく、本当にです)かけがえのない友達もできたし、自分の至らなさもわかったし。これがなしと、ありとでは人生180度変わっていくかもしれないです。




「これがなしとありとでは、人生180度変わっていく」体験を、私らしい形で、アラスカやユーコンの原野のプログラムとして提供するのが、長期的野望です。

2011-10-25

1年分のトマトを食べた日(伊南川100kmウルトラ遠足)

エイドは(地元名産の)トマト、トマト、トマト
スタートとゴールのシンボル大銀杏
幸せな景色広がる

夏に大荒れした伊南川
Oct.2011, Minami-Aizu, Fukushima, Photos by Kenji-san


足が象なみに浮腫んでるゾウ。



週末、100キロを自分の足で移動した。

100キロ。時間でいえば13時間。

日の出前の朝5時から日の入り後の夕方5時57分までの間ずーーーーっと、17箇所のエイドで、水分と食糧を摂取するために立ち止まったのと、トイレに4回立ち寄ったのを除いて、足を前に前にと出し続けた、ただひたすらに。コースは、合計1600mの標高差があるので、6キロの登山道と、10キロのダラダラ峠越え登り坂は歩いたが、あとの84キロは(すごくゆっくりだけど)走った。


私だけじゃない。世の中にはそういう遊びが好きな人たちが少なからずいて、今回、福島の南(栃木と群馬と新潟の県境い、または尾瀬国立公園の北の入り口)、会津の伊南川沿いに100キロを16時間以内で移動しようよ、というイベント「伊南川100kmウルトラ遠足」に、北は北海道から南は佐賀県まで、私をふくめ、先週末、282人の物好きが会津に集合


ブログ更新久々の今日は、100K感想&完走記です。




70キロ以上走る/歩く大会(イベント)に出るのは、2007年のOxfam Trail Walkerを皮切りに、今回で7回目。普段は、ふかふかの森の中が好きなので、全体の94%がアスファルトの上、という条件は初めてだが、100kmという距離感覚は、もう体が覚えている。

100キロは、決して近くはないけれど、思っている以上に遠くもない。

焦らず、自分の走力を見極めたゆるいペースで進めば、意外と疲れずに人は前へ進めるものだ。最初から飛ばさず、持てる力を抑えて抑えていくこと。普通の走る大会は「なるべく少ない時間でゴールする」という前提があるけれど、この世界は、「制限時間内に完走」という前提で参加している人も少なくない。そう、目標を「制限時間ぎりぎり」にして(今回は16時間)、疲れきって足がうごかなくなる前に、途中、歩いたり、エイドで長めに休憩したりすれば、思っている以上に、ゴールは遠くないし、体への負担も少ないし、多分、もっとウキウキと楽しい。

事実、60キロのエイドで「足が動かない〜」と弱音を吐く私をみて声をかけてくれたオジサマは、「まだ1時。あと40キロ進むのに、ゴールの制限時間まで8時間使えるから、もう走らなくても大丈夫だよ。1時間に5キロ進めばいいんだ」と励ましてくれた。だから、リタイアせずに、ゴールして美味しいビールを飲みなよ、と。(このユルユルな雰囲気が、ウルトラマラソンの特長。)


たしかにそうなのだけれど、歩いてしまうのは自分の中で「負け」な気がして、どうしても歩けないのだ。やっかいな性格だが、これが自分なのでしょうがない・・・。

夏の間ほとんど走っていない身体(6から10月の総走行距離は、たぶん200キロくらい)で、一度に100キロ走り続けるのは厳しいのは分かっていた。案の定、20キロ過ぎたあたりで早々に足裏や膝や股関節や腰や肩や腕・・・が、順番にストライキを起こし始め、痛みという形で私にブーイング信号を送ってくるけれど、そんな体の悲鳴は無視、無視。

25キロ地点で途中リタイアを妄想し、
65キロ地点で、布団に寝転がって安らかに眠る自分を夢想し、
70キロ地点で、まだ30キロも続くこれからの道のりを想像して気が遠くなり、
80キロの地点で、道路にいたヘビに驚き50センチ飛び上がって、膝の筋を痛めながらも、


折れそうな気持ちを叱咤激励して、ゆるゆると走りつづけた。


88.6キロの第16エイドを通過したのが午後4時45分。計算していたよりもずっと速かった。
エイドのグァバジュースを口に含みながら、あれ、あと11.4キロを1時間15分で走れれば、もしかして午後6時までにゴールできるかも?、と朦朧としてきた頭で計算する。12時間台でゴール、って、ぷぷぷ、悪くないんじゃない?


一旦意思を固めれば、人は強い。
88キロを走り続け、ギシギシに動かなくなったはずの足は、再びスムーズに、1キロ6分のスピードで動きはじめる。1キロ毎に腕時計をにらみながら走り続けること1時間10分、村のシンボル、大銀杏の木の下のゴールへ、午後5時57分、到着。

気持ちが一気に緩んでヘナヘナと地面に倒れ込む私に、スタッフのフミさんが、キーンと冷えたビール缶を渡してくれ(ここでビール、というあたりのユルさも、ウルトラマラソンっぽい)、長い長い1日は終わった。



あんなに走っている間は辛かったのに、意思が肉体を凌駕した(←大げさ)最後の1時間10分の記憶が麻薬のようになって、私は、また走っちゃうんだろうか。

普段、ラクな方にラクな方にと、うまく手を抜く術を覚えたツマンナイ大人な毎日に、自分の限界ギリギリのことをやって喝を入れ、あ、意外と私はまだまだ頑張れる、と頭でなく身体全部で感じられる瞬間が癖になり、走るのを止められないのだろうか。




以前、誰かが、100キロは「旅」だ、と言っていた。

車や列車の早さでは見逃してしまう景色と空気感を、時速7、8キロで流れ行くスピードで感じられる旅。その意味で、13時間、私は会津を味わい尽くした。

速すぎず遅すぎず、絶妙なスピードで視界を流れ行く、深い山合いにひっそりと佇む日本の原風景のような村。ブナやカラマツの原生林、いろんな植生が幾重にもなって生み出す錦色の紅葉の山並みと、アクセントに現れる渓谷。目を閉じれば今も脳裏に浮かぶ、奥会津の風景が愛おしい。

疲れた体をほぐしてくれた、鉄分たっぷりの赤い温泉、

お世話になった民宿のおばあちゃんの、あったかいお人柄と会津弁、おじいちゃんが「まあ飲めや」と注いでくれた地酒、

新米コシヒカリのつややかさと舌の上にのせたときの甘さ

地場の食材をたくさんつかった美味しいエイドの食事

人があまり通らない、ひっそりとしたトレイルに降り積もる落ち葉のふかふかさ・・・


話題の福島は、目に見える心で感じられる世界は、こんなにも穏やかで平和で素敵な場所で、それを感じるからこそ、目に見えないものに怯えないといけない事実に、胸が痛い。




伊南川100kmウルトラ遠足データいろいろ:

●走る場所
100キロ、550mから1700mまで、合計1600mの標高差。
うち6.4キロは尾瀬国立公園内のトレイル。




●旅の間のごはん:(合計17カ所のエイド食)
トマト、トマト、トマト、塩、たくさんのトマト。(トマトはこの地の名産品)
リンゴ、オレンジ、レモン、バナナ、梅干し、おにぎり、豚汁、ハム、焼き肉、花豆、あんぱん、カシューナッツ、カステラ、クルミ黒砂糖、お菓子類、飴類。
水、麦茶、スポーツドリンク、レモンティー、ココア、昆布茶、コーラ、グァバジュース、サイダー、生ビール


●いただいたお土産(参加賞):
Tシャツ、手ぬぐい、トマトジュース、岩魚の甘露煮、杉の間伐材でつくった割り箸、和菓子


●受付場所で見かけた地元の美味しそうなもの(沢山買った)
トマトジュース、米、味噌、赤かぶやゼンマイの漬け物、花豆、梅干し、梅の甘露煮、和菓子、日本酒。


●つかったお金
16000円の参加費と
13000円の2泊分の宿泊代と
8000円の交通費と
おみやげたくさん



●10月の月間走行距離のグラフ・・・、いびつ過ぎて笑える。




こういうMっ気のあるイベントは、一人では気持ちが萎えるので、友人知人を誘います。誘った人がまた人を呼び、今回も、わいわいガヤガヤ。あの辛楽しさを一緒に笑い飛ばしてくれた皆様、楽しい時間をありがとうー。


ウルトラ初挑戦のPOEの女性陣

park、裸足断捨離ランナー やまだ氏
http://blog.park-komazawa.com/?eid=11

Think the earthケンちゃん(取材同行。写真ありがとう)
http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/news/peace/935inagawa-ultra.html

親父弁当のヨシナリくん、まさかの実況中継
http://dpz06.cocolog-nifty.com/100k/

2011-10-01

Full moon, Fall color, and some green light

Denali National Park, Alaska, Sep.2011






8月の後半から9月、アラスカ〜ユーコン彷徨っておりました。大好きな場所にいられる私は始終ご機嫌、ニッコニコ。ああ、この場所大好きだ〜。

随分とご無沙汰していたブログ、ぼちぼちと更新していきます。

2011-08-26

10月、会津紅葉を愛でながら100キロの旅路へ

photo by 民宿田吾"作


このイベントを見つけたきっかけは、(1年に1回は参加したい、今年の)長距離走るイベントを探していた春のことでした。

探していた秋の季節だし、尾瀬は紅葉きれいだし、東北の復興応援にもつながりそうだし、地元に密着して温かなイベントのようだし、エイドの給食が美味しそうな予感もして、お、これは楽しそう、と、パンフレットを取り寄せたところ、大会本部の女性(=民宿 田吾"作おかみ)は、知人の知人だった・・・(世の中狭い)、ということですぐに仲良くなり、その後も何度かメールのやりとりをしています。だから、部外者である私も、このイベントの申し込み人数を、何故か把握しているのですが・・・。


まだ満席になってない。


ブームだか何だか、
軒並み1日で満席となっていくトレイルラン/マラソン大会を横目に、

深窓の令嬢のように奥ゆかしく控えめなこのイベント(いかにも東北っぽい)、もう、半年くらい前からオープンしているのに、まだ245人の申し込みで、まだ定員に達していないのです。震災の影響かどうか、昨年よりも100名以上少ない数字で、でも、開催者たちは、「こんなときだからこそ、中止しないで開催するのだ!」とおっしゃっています。
(申し込み締切は9/2の予定だったけれど、ちょっとだけ延長されるみたい。)

だから、わたしも、微力ながら、ここで告知ご協力させていただきます。10月の中旬、紅葉の会津を一緒に(走って歩いて)16時間の旅をしませんか?


『伊南川100kmウルトラ遠足』
http://tagosaku-ina.com/event3/index.html






話はこれだけでは終わりません。
やっぱり春のことでした。一人で走るのもなんだしな、と、普段は、アスリートや冒険家を応援している都会派美女軍団POEのメンバーに声をかけたところ、

「これまでウルトラは応援するものだと思っていました。しかしそんなに景色が素晴らしく、美味しいものも沢山あって、そして何より参加することに意味がありそうな「マラソン&ピクニック」ならば。。と、チャレンジすることにしました。」

と(初100kmチャレンジとなる)じゅんこさんから二つ返事で参加表明をもらい、また、普段は応援されている側の、24時間走世界チャンピオン井上さんが、今回はPOEのコーチとして、応援側に回ってくれるとのこと。おおぅ、強力な助っ人!

私は参加できませんが、9月の半ばに、POEは事前合宿も計画しています。大会当日は、田吾"作に一緒に泊まって、心細さも解消することも可能です。

というわけで、こちらも併せてご紹介しておきます。(10月は私も田吾"作に泊まります)。




究極ランナー・アスリート・冒険家たちのDo Good!を応援!
piece_of_earth の
伊南川100キロチャレンジ物語
http://poesjnm.exblog.jp/15852677/

2011-08-25

Thailand days #7

Farm Chokchai Keynote Speech

Imagination is more important than knowledge,
but INSPIRATION is more important than imagination...!

And I think, Passion (and Action) is most important.

*

タイのファームチョクチャイ牧場経営者(この方、2012年に来日するみたい)が参加高校生向けに行ったキーノートスピーチより。


というわけで、タイ報告を中途半端ながらここで切り上げ、
私も、もっとも情熱を注ぎこめる場所、アラスカ&ユーコンへと、そろそろ旅立ちます。

2011-08-24

Thailand days #6







東芝地球未来会議 - 高校生向けグローバル環境リーダー育成キャンプ

今回のタイ行きは、環境キャンプのコーディネーター&ファシリテータとしての参加だった。今年で3年目。

つたない私の進行を、温かく見守ってくれた参加者の皆様ありがとう。さりげなくサポートしてくださったスタッフ陣の皆様ありがとう。

森や山や湖や草原で体を動かして過ごす時間は大好きだけれど、それと同じくらいに、(たとえ建物の中であっても、)(同世代でなく、)次の世代の人たちへ、自分が信じるものを伝える機会を、これからも大切にしていきたい。




3番目の写真。
高校生たちが見つめる視線のその先(未来)が、光に溢れている感じがお気に入り。

Thailand days #5


Love Note System.

デジタルメールじゃなくて、
アナログメール。

参加者同士、互いに気付いた Nice! LIke! Thanks! の一言メッセージを、ひょいと入れておくメッセージ入れ。

ぼろぼろの雑巾のように疲れ果てた夜12時に読む、ミスコピーの裏紙のチラシにササッと書かれたNice job! の一言が、どれだけのエネルギーになったことか。
さりげなく放り込まれていたキャンディー1粒の甘い記憶。

直接にでも、間接的にでも、
デジタルでも、アナログでも、
相手への好意的なメッセージは、面倒くさがらず、ちゃんと伝えていこう。




私は褒められて育つ派だからね。ラブノートにニッコリ。



Thailand days #4


Mr.Tanate has a nice sense of humor. (時々親父ギャグすぎるけど)

今回のタイでの仕事。チームを組むスタッフ陣は、タイ人と日本人の2カ国混成。

「まじめになりすぎちゃいけないんだ。息抜きを、ユーモアを、楽しさを。力を抜いた方がいい結果が出るもんだ」、ってタイチームは毎日言い続けていた。
新しいアイデア、いろいろありがとう。

2011-08-23

Thailand days #3




a metaphor 'Shoes Keep man from Nature'
靴はポイポイ脱ぎ捨てて。
皆で田んぼの中へ。

「地球未来会議」中のできごと。

プログラムの一環で田植えをした。
手足を泥だらけにして。
タイの高校生も、日本の高校生も、アメリカの高校生も、ポーランドの高校生も、皆一緒に。

(田植えは日本でだってできるけど、でも、タイは8月にも田植えできる(1年三期作)。暖かい、って生物が生きるにはアドバンテージだよな。)

その夜に聞いた参加者の言葉。
「田んぼの泥の中に足を突っ込んでいると、太陽の温かさや、稲の育つエネルギーが、足の裏から直に感じられたんだ」

プログラム最終日、ディスカッションタイムに参加者出たトピックの一つ。
「靴が人間を自然から遠ざけた」

ああ、この隠喩は、いつかトラッカーズスクールで聞いた、ネイティブの教えを思い出させる。

「大地を歩くときには、自分にとって最も目上の人の上を歩いていると知りなさい。その人の名は地球です」
「靴は足の棺桶」
 ーGrand Mother




裸足万歳。
そんな私は今日も裸足にサンダル。
銀座への仕事の打ち合わせも、サンダルで、お出かけ、お出かけ。
(それを許してくれる仕事先に感謝。)

2011-08-21

Thailand days #2

カンファランスの会場となった牧場

Open Air Dining area


Open Air Living Room

Open Air Terrace

Open Air Shower



 Open Air Toilet, which I love the most -  All photo by Kea


タイの夏は「4月」で、
季節は、「雨期ー乾期ー夏」の3つしかないんだって。
今は雨期。

トロピカルな重たく気怠い空気が肌に纏わりつく。

Thailand days #1






All Photos by Kea

甘さと辛さと酸っぱさと。

ココナツとパクチーと。

食欲と好奇心のままに食べていると危険な国、タイ。
12日間の滞在で、確実に数キロgain。