2010-11-29

速報:賞状はいくつになっても嬉しいぞ(朝霧ロゲ2010)




レースの前日、(ロクに練習もせず)賞状もらってるシーンを脳内でぐるぐると重ねてたのが、よかったのかなー。イメージトレーニングって、大事だ。

人生4度目&今年2度目のロゲイニング(a.k.a. 大人の宝探しゲーム)大会、3月に引続き、またまた「女子の部優勝」賞状いただきました。ぷぷぷ。


詳細はまた今度。

2010-11-25

An Orchid is calling me. ピレネー山男の美学


フランス、ピレネー山脈で出会った、ガイド兼料理人のマテオのお話。

マテオの家は、ぐいっと山を登った、人口多分20人くらいの小さな集落にある、古いアパートの屋根裏部屋。部屋へとあがる階段はずいぶんと急だ。

屋根裏部屋のため、壁は斜めで背の高いマテオにはちょっと窮屈そうだが、いぶし色に輝く梁が、いいアクセントになっている。

斜めにしか開かない窓枠には、野良猫がニャーと心地良さそうにひなたぼっこをしており、窓の外は緑色の木々と木々の間を飛ぶ鳥たちの声がすぐ近くに聞こえてくる。

何も入らなさそうな小さな冷蔵庫の扉は壊れていて、「モノを冷やす」機能は全く果たしていないが、山の中の家は涼しいので問題はないという。よく手入れされた包丁が何本も壁のマグネットに架けられ、オレンジ色のルクルーゼ鍋が、無造作にキッチンの一角に置かれていた。

食器棚はないのだが、天井からは、ぴかぴかに磨かれたワイングラスがたくさんぶら下げられている。椅子は拾って来たガラクタを改造したらしいが、その椅子たちが囲むテーブルは、合板ではなく味のある1枚板だった。その椅子に座って、紅茶をご馳走になる。

テレビはないが、その分あいた壁には、大きく引き延ばしたピレネー山脈の写真がたくさん飾られている。

広くはない部屋の中心に、野で摘んで来た花がどーんと存在感を放ち、部屋を明るくさせていた。



ある日、マテオが、ピクニックランチを用意してくれた。

6月なのに寒い雨降る日で、手の先まで冷えた体に、彼が前夜から仕込んでくれた生姜ハチミツ茶は、ちょっと口にするだけで、ぽかぽかと体を温めてくれる。

朝、村のパン屋で買った1本90セントのバゲットを切る。一人半分の割り当ては、ちょっと私の胃袋には大きいが。店で買ったとき、バゲットは無造作に白い紙で包まれただけだったので、防水対策にと色気のない私はゴミ袋に入れておいたのだが、バックパックを開けると、ゴミ袋の向こうから、微かにパンの香ばしい匂いが漂ってきた。

アルプスの少女ハイジに出てくるような白くて丸いチーズを薄く切る。このチーズと生ハムは、村一番に美味しいと評判の店で買っておいたという。

残り物の野菜を細かく刻んでいれたというオムレツは、赤と緑のパプリカが、いいアクセントになっていた。

トマトとキュウリに酸味があるから、お酢はいれてないよ、というサラダは、たっぷりのオリーブとガルバンゾービーンズと、そして、インカの人たちが大好きな栄養満点の穀物、キヌア和え。

青いサラダは現地調達だといい、雨の中、トレイルの途中の牧草地で摘んだ草、2種。摘みながら、マテオは、美味しいな、とむしゃむしゃ食べていた・・・。ほうれん草みたいな苦みのある大きめの葉っぱは皿に敷き、ハーブのようなかわいらしい葉は、こうやって上に載せて、と、盛りつけへの注文もうるさい。

こうして出来上がったフランス式ランチ。雨雲の奥に姿を見せた、世界遺産のガヴァルニー圏谷の、高さ1500mの崖を背景に、わたしは夢中で食べた。




ピレネーを一緒に歩く。
きちんとしたトレイルを避け、あえて道なき道に突っ込んで行くのが好きだ。足下の悪い、崖や沼地に連れ出されると、出来上がった道を歩くのに慣れすぎている日本のお客さんたちはびっくりするが、ニヤリと笑ってこう言う。

「If you want to see a real world, you have to get lost.  
本当の世界を見たかったら、道から外れないとだめなんだ」
「Enjoy one adventure a day。1日1冒険。」


彼の乗る小さな車は、もうメーター一回りどころかふた周りくらいしてるんじゃないかと思わせるオンボロで、右のサイドミラーはその存在すらない。このボロクソさの年季の入り方は、キューバで見かけた車以来だ。ドアは3回に1回はちゃんと閉まらず、助手席のシートは微妙な角度に倒れたまま。後ろには登山道具がどっさり。「掃除」という単語は、この車には多分、乗っていない。

ようこそ僕のスポーツカーへ、かっこいいでしょ、と、それでも彼はこのオンボロカーをとてもお気に召している。
「これは、廃油カーなんだよ、ガソリンスタンドに行く必要はないんだ。レストランで、要らなくなった油をもらえば、どこまででも走って行ける」

この車に乗って、大好きな蘭の花を探しに、12時間走り通してイタリアの南まで行くのが休日のお楽しみなのだという。私を乗せて走っていても、常に道の両脇の崖を見ている。時折、急ブレーキをかけ車を止めると、車を降り、蘭を私に見せ、写真を撮り、この蘭がどれほどスペシャルなのかを、とうとうと説明しだす。

「結構なスピードで走っている車のなかから、なんでこんなに小さな花を見つけられるの?」

「An Orchid is calling me. 蘭が僕を呼んでいるんだ。動物も蘭も一緒さ。彼らの気持ちになって、彼らの好きなもの・・・、たとえばこの花なら、日かげの、湿った、アルカリ性の土が好きだってことを知っていれば、この場所が生きるのに最適だって分かるでしょ?」




「人生の順位付けはとてもシンプルなんだよ。
僕の人生に必要なものは簡単だ。
美味しい食事、友との楽しい時間、愛しいガールフレンド。」








今日の話題を私に思いださせたのは、雑誌クーリエジャポン1月号のフランス特集。

2010-11-22

サンタクロースの皆様へ。いつもの、あの季節。

Aug., 2007 Matanuska Glacier, AK


サンタクロースの皆様へ

オーロラクラブ
って、聞いたことありますか?

星野道夫さんの遺志を引き継ぎ、毎年3月、子供たちをアラスカの氷河の上に連れて行くボランティア団体。

わたしに最初にトレイルランを教えてくれた友人、かわちょが関わっているこのオーロラクラブを、私も数年前から小さくお手伝いしています。

わたしの大好きなアラスカ。
その場所に立っているだけで心が苦しくなるような地球の宝石のような景色たち。

あの場所に、
まだスポンジのようにフカフカにやわらかい心を持つ子どもたちが降り立って、
見渡す限り雪と岩と氷の世界で過ごす1週間。
彼らは、あの地球の奇跡のようなアラスカからの贈り物を受け取り、
いったい何を感じ取るのでしょう?


オーロラクラブでは、毎年星野さんの写真カレンダーを販売し、
その利益を活動資金に充てています。


サンタクロースっていうのはね、「Giving」の心を、分かりやすく目に見える形にしたものなんだよ、と、アラスカに住む小さなしろくまさんから教わったのは、いつのことだったでしょうか。

このブログを目にしてくださっている(きっと北の大地好きの)方へ、こどもたちに、アラスカの景色をプレゼントするサンタクロースを、大募集したいと思います。

サンタクロース代理店より



*(ここから蛇足)*

しかも、毎年言ってますが、このカレンダーは一石二鳥どころか、鳥がたくさん。ほんわかとした、幸せな気持ちがあっちこっち行き来して、自分も嬉しく、とてもお買い得、なのですよ〜。

1、1200円で12ヶ月。e.g.たった1ヶ月100円でデスクの横にアラスカの風が吹く。複雑な仕事でついキィーッと荒みそうになった心を、机の片隅の大きな風景がなだめてくれる。

2、その月が終わったら、カレンダーをポイすることなく、はさみを取り出し絵はがきにチェンジ。心にふと浮かんだ、最近会っていない、ごぶさたの、でも大切な誰かの住所と名前を書いて、ポストに投函。久々につながったその人は、アラスカの澄み切った空気ににっこり。



*(お申し込み方法)*

11月末までに、wildernessryoko [a] yahoo.co.jp ( [a]=@) あてに、
お名前、希望冊数をお知らせください。
折り返し、お振込み、送付などの詳細ご連絡します。




*(商品詳細)*



■卓上型カレンダー
■サイズ 105mm×205mm,プラスティックカバー付き
■表紙も含めて計13点の星野道夫作品が収録されています
■各月のカレンダー部分を切り取れば、ポストカードとしてもお使いいただけます
1部 1,200円 (送料・消費税込)

*(プレゼントを受け取ったこどもの声)*

「犬ぞりっていうと犬が走らされているのかと思った。だけどそれは私の勘違い。犬は走りたかったんだ」
「人間の生きる基本を知った」
「月明かりがまぶしいなんて初めてだ」
「骨の髄まで浸透してくるルースの寒さと荘厳で壮大なオーロラにふるえた」
「ビデオなどとちがって音がなく、しいんとしずまりかえっていて風もないのになびいていました」
「目を開ければ自然のままの大きな大きな山がある。ずーっと見てても飽きないし、どんどん感動が大きくなっていく」
「水と食料と、適度な温度と人さえいれば、他に何もいらないと思った」
「目が覚めたときに起きて、食べたいときに食べる。寝坊も夜中のお菓子も咎められないなんて、素敵すぎます」
「一番楽しかったことは、生きていくために働くことです」・・・

2010-11-19

ボジョレヌーボーの夜に


「ヨーロッパの森へ」イベント無事終了。
参加いただいた皆様、ありがとうございました。

観光地じゃないヨーロッパの田舎って、自然と歴史と文化、そのどれかがどれかを排除する事なく、上手に絡みあって複雑な味わいを出している。

人がちゃんと地に足をつけて、背伸びせず無理せず、でも豊かに生活している。森も、生活の中に、無理なく入り込んでいるので、気負わず気軽に楽しめる。

なんか、大人だ。



個人旅行の相談はユーロトレックへ。
多国籍ツアーの参加なら、gap adventures





2010-11-17

歩けTMB(ツールドモンブラン)170K #4


犬も人間も走り出しちゃうツールドモンブラン。

イベントは明日です。
ふらりと当日ご参加大丈夫です。予約いらないです。

アメリカと違って情報入りにくいヨーロッパの山歩き、(言葉もフランス語とかドイツ語とかだし)一見難しそうだけど、実は意外にカンタン、しかも意外とリーズナブル、でも景色は一流、というあたりをお伝えできたらなー。




「ヨーロッパの森へ」

■開催日時: 2010年11月18日(木)19:00-20:30 
■開催場所: 地球探検隊オフィス(新宿御苑)
■参加費: 無料

詳細:http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1118

2010-11-16

歩けTMB(ツールドモンブラン)170K #3

ついつい走り出したくなっちゃう極上のトレイル。

「ツールドモンブラン」って、トレイルランの世界では、8月に大きな大会があって(NHKで放映もされたから、最近日本でも)有名だけど、ちゃっちゃと走り抜ける必要なんてなくて、自分にとって心地よいスピードで行けばいいじゃん、って思うんだー。自転車やラフトも使えるし。ロープウェイやバスでエスケープもできるし。いろんなパターンで。

ほんとに、いいトレイルだから。




「ヨーロッパの森へ」

■開催日時: 2010年11月18日(木)19:00-20:30 
■開催場所: 地球探検隊オフィス
■参加費: 無料

詳細:http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1118

2010-11-12

歩けTMB(ツールドモンブラン)170K #2



TMBは、バリエーションルートも含め、標識はとてもしっかりしているので、シャモニーの街でこれさえ揃えておけば、道に迷うことはない〜。




「ヨーロッパの森へ」

■開催日時: 2010年11月18日(木)19:00-20:30 
■開催場所: 地球探検隊オフィス
■参加費: 無料

詳細:http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1118

Surfing Holidays!

2010-11-11

歩けTMB(ツールドモンブラン)170K #1


数年前のことだ。
シエラネバダだ〜、アンデスだ〜、と、世界の素敵なトレッキング情報をいち早く見つけてきては、旅に出かけるドイツ在住CAのミヨコ姉さんが、「次はツールドモンブランを歩くのよ」と連絡してきた。

ツールドモンブラン?

その頃、(今もだけど)北米にばかり目を向けていた私は、ヨーロッパ情報は大変疎かった。なんだその自転車競技みたいな名前、むー、どこどこ?と思いながら、ミヨコ姉さんのアンテナの鋭さには間違いないので、慌てて調べる。

Tour du Mont Blanc (TMB)
http://en.wikipedia.org/wiki/Tour_du_Mont_Blanc

ー モンブラン山群の周囲170K、標高差10000mのトレイルルート。ヨーロッパの有名なロングトレイル。途中には山小屋が点在しており、10日間から2週間かけて歩く人が多い。


おおぅ。魅力的じゃない?
ヨセミテのジョンミューアトレイル300kはテント背負ってのwilderness backpackingだけど、この道は、山小屋に泊まりながら歩けるのねー。

と、ここで簡単なリサーチはストップし、気になりながらも訪れる機会がくることもなく、心の中でこのトレイルの存在を温め続けること数年。

今年6月、チャンスは空からぽとりとふってきた。
(強く思い続ければ願いはいつか叶うもの〜)

ハイキングガイドとしてヨーロッパに長期滞在していたこの夏、ツアーとツアーの間にぽっかり空いた7日間。がめつい大阪商人のボスMr.Chinは、私を休ませるという選択肢は脳裏にないのだった。

「今後のために下見行ってきて」と、ピレネーからの帰り道、シャモニーで、ポイッと車から追い出される。与えられたのは、山小屋代と1週間という時間。

町中の本屋で地図を買い、メゾンドモンターニュ(山の家)でトレイル最新情報と山小屋情報を入手、残雪多いらしいという噂を聞いて、仕事先のガイド会社からクランポンを借り・・・、

昼ご飯代わりのリンゴを齧りながら、バスに乗り込んだ。
どんより曇りの、まだまだ寒くて「夏!」にはほど遠い、6月半ばのシャモニーの朝だった。

(つづく)



イベントやります


「ヨーロッパの森へ」

■開催日時: 2010年11月18日(木)19:00-20:30 
■開催場所: 地球探検隊オフィス
■参加費: 無料

詳細:http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1118

2010-11-08

ツマンナクなった自分にガツンと喝を


あら、またすっかりと更新が滞っていました。ここの趣旨に合うような海外旅行系のアップデートな話題がないので、だんまりを決め込んでいるブログですが、私は元気です。ようやく涼しくなって、走るのにいい季節。あっちやこっちや、犬のように東京を山を走り回っています。今一番気になるキーワードは、UTAF = Ultra Trail Around Fuji 100mile。早く詳細出ないかな。



最近目が離せない為末大氏のウエブサイト。この人の鋭い視点に釘付けだ。そんな彼の今日の話題。

「気付きを分析する」より

「 気付きは、毎日見ていた何かが違って見える瞬間です。

私は思い込みが強く、よく言えば意志が強いのですが、人の意見を聞きません。ですから行き着く所まで行けるのですが、行った先が違った山だったというのがよくあります。だからこそ、私は全く違う国や人種や、職業の人間、行った事無い場所、誰もいない場所に触れないといけないのです。様々な鏡に映った自分の姿を見ないと、私は私の姿に気付けぬからです。

見ようと思った景色を見ているに過ぎないという事に気付いた日、世界が一変したのを今でも覚えています。」



来年の春に企画している「犬ぞり遠征」企画は、軟弱な都会で生活する人間にとっては、気付きの連続だ。

1600キロ、マイナス40度の犬ぞりレースに何度も優勝しているフランクターナー氏との出会いも、

100匹を超す犬たちに囲まれるあの犬牧場(ケネル)も

ガソリンのいらない、動物を動力として移動する旅の形も

日本より広いのに人口3万人のカナダの北の果ての森の様子も

お皿に盛ったご飯が1分で凍り始めるなんて、笑っちゃうくらい寒いあの場所で2晩すごす夜も

何だか、すべてが大変で忙しくて初めてで犬が可愛くて景色の美しいあの1週間は、

放っておくとついつい固まりがちな脳みそに、ガツンと喝を入れる時間、なのかもしれない。自分が見ている世界なんて、吹けば飛ぶくらいに小さいのだ、と再認識するために。

蛇足だが、この「気付きがある」人たちって、為末さんの言う「わからない事がわかってい」て、話していても何ともしなやかで美しい。



ブログの更新が遅れていて、明日のイベントの案内を今する自分もどうかと思うが、まだ数席余裕あるようなので、お時間ある方、飛び入り参加どうぞどうぞ。


***

「2011ユーコン犬ぞり遠征隊説明&2010アラスカ夏シーカヤック報告」

何で、氷点下の気温の中で、犬の世話をしながらキャンプ。決して簡単ではない(いやむしろ過酷な)旅を提案をするのでしょうか?オーロラがみたいならば、キャビンに宿泊していれば暖かい。犬ぞりも体験したいだけなら、多くの場所で半日コースが開催されている。そうなんですけれど・・・。
でも、やっぱり違うんです。マイナス20度のキャンプ。犬4匹と息を合わせて進む1日50キロの旅。その魅力をお伝えできれば幸いです。(当日は、この夏に催行した、アラスカシーカヤックの報告も行います)

■開催日時: 2010年11月9日(火)19:00-20:30 
■開催場所: 地球探検隊オフィス
■参加費: 無料
詳細:http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1109





「春のユーコン:犬ぞり遠征隊」
~ 犬ぞりを操り原野キャンプ、夜空に煌めくオーロラを求めて ~
日本発着最短日程:2011年2月26日(土)~3月5日(土) 8日間
http://www.expl.co.jp/shugaku/kikaku/11win/yxy/index.html