というわけで、小学生10人とみっちり朝から晩まで一緒に過ごした正月だったのだが、ヤツらは、どうしてそんなにと思うくらい、よく泣く。
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「朝あったリフト券入れがどうしても見あたらないの~」と、部屋の隅でうずくまり、肩を落としてシクシク泣くリンちゃん。
そんなのどうにでもなるから大丈夫だよ!宿のおかみさんや、インストラクターのあっきぃに、予備がないか聞いてみようよ、と、慰める。慰めながら、「学級委員バッジ」を無くしてそれを1ヶ月親にも先生にも言えず悶々と悩んだ小学3年生の自分を思い出し、そう、なくしものは一大事だったんだよ、と、何故か一緒に悲しくなって、リンちゃんの肩を、ぎゅぅぅと抱きしめる。
10分後、彼女は、リフト券を下駄箱で見つけて、「あったあったあった~」と、リフト券の舞いを踊っていた。
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昼は、時折こちらが本気でムカつくほどのきかん坊、タイ君。
夜中の3時、私の部屋のドアを静かに叩く。「ねえ、ベティ、起きて起きて。怖いよー。眠れないよー。電気点けていい?クレヨンしんちゃんの漫画読んでいい?」
電気点けていいよ、この部屋のドア開けたままでいいから、布団近くにもってきて、ベティの近くで寝れば大丈夫だよ。明日スキーできなくなっちゃうから、漫画は読まずに、寝ようねぇぇぇ」と、寝ぼけなまこで答えつつ、8歳だか9歳の頃の自分が、半分想像力の世界に生きていたことを思い出す。夢と現実は、今ほどに明確じゃなかった。サンタクロースも怪獣もUFOも、全部存在していたあの頃。
10分後、彼は再びすやすやと眠り初め、そして私は変な時間に起こされたせいで目が冴え、明日1日スキーだっていうのに、眠れなくなる。
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俺のことは「ゴウカザル」と呼んでくれ!サルじゃねえよ、ゴウカザル!(=ポケモンの登場人物らしい)、と、参加者のなかで、一番、私が思っているとおりのガキんちょで、(犬くさかった)リョウくんは、
みんなで遊んでいたゲームで、ちょっとイタズラをされ、オニから抜けられなくなってしまった瞬間に激高、部屋に立てこもって泣きわめく。「世界の誰も信じられねぇ。俺はひとりで生きていく~」
興奮を自分でコントロールできなくなっちゃって、本当は泣きやんで夕食に行きたいのにどうしようもできない彼は、昔、家族でトランプゲームをして負けると、泣きわめいて親に飽きられた自分に重なってしまう。他の子供たちには先に夕食にいってもらい、彼とふたり、静かに向き合って、ぎゅうぅぅ、をしたら、ウゥゥ、ウェェーンと、鼻水垂らしながら、落ち着いてくれた。
10分後、美味しそうにハンバーグをもりもり食べ、さっきまで信じられなかったはずの友達たちと笑ってる。
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コドモの世界は、いつも真剣勝負で、真っ直ぐで、だから、24時間ずっと、、キモチはジェットコースター。
私が最近、最後に泣いたのはいつだろう?私はいつのまにか、泣かない術を身につけていた。何かにぶちあたったとき、キモチを横に逸らして、心が傷つかないように、すり抜けるズルさを覚えてしまっていた。
そのズルさは、毎日を平穏に生きて行くにはラクチンな術だけれど、ガチンコ真剣勝負の気持ちよさ、を、彼等の涙は思い出させてくれるのだった。
(この章、まだ続く)
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