2008-03-31
時と場合によりけりだ
インストラクターに何か質問すると、たいていの答えはこれだ。
もう聞き飽きた。
センター試験大学受験教育の申し子である私は、つい「唯一の正解」を求めてしまうのだけれど、唯一の正解は、ここには存在しない。
そのときの環境と状況と傷病者の具合により、執るべき処置と順序は常に変わるはずだから。ここで教えてくれるのは、それを自分の頭で判断できるようになるための、症状や怪我のメカニズム、という部分が圧倒的に多い。
日本ではまだあまり知られていない、「病院に運ばれるまでに時間がかかる原野での救急法 Wilderness First Aid」は、北米では、アウトドアに携わる人間にとっては、「最初に持っておくべき」資格だと見なされている。で、はるばる長野までやってきて、8日間も、英語と日本語の医学用語づけの1日10時間授業を受けている最中なのだけれど、
情報量多すぎて脳みそに酸素がたりず、すでにトホホな2日目の夜。
さ、宿題しよう。
2008-03-29
2008-03-28
風呂なし1週間
どこの地区も携帯は圏外だし、
一昨年行ったアラスカ以上にくまに気をつけてキャンプしないといけないし、
お風呂は入れないし・・・という生活です。
あの大自然の中に私一人取り残されたら、多分すぐに死んでしまうでしょう。だけど、くまやカリブーは普通に力強く、何食わぬ顔で生きている。その中で人間が生きて行くのに必要な最優先事項は、くま等から自分を守る力と水と仲間・・・人間は生き物の中で、一番偉いわけではない。自然の中では本当に弱い生き物です。数ある生き物の一種類にしかすぎない、と実感します。
そんな自然の中にいた時の自分は、本当に素直だったし、よく笑いました。
たった1週間の旅だったけど、旅を通して、人生観が少し変わりました。
(2007参加者・女性)」
2008-03-27
2008-03-26
北極圏の空・日没月出極光
「ユーコンに着いた瞬間、まず気付いたのは「空気が澄んでいる」ってことでした。見渡す限りの大自然、北に移動するごとに変化していく360度の大パノラマに、ただ圧倒される毎日でした。
帰国してから、何でそんな不便なところに行ったの?何がよかった?とよく聞かれました。確かにお風呂もないし、寒いし、時にはトイレもなかったけれど、そんなことがとっても些細なことと思えるほど、素晴らしいことがたくさんありました。
生まれて初めてみたオーロラに見とれました。たくさんの野生動物に出会いました。今までで一番美しい月の出を見ました。白夜でなかなか沈まない夕日にいろんなことを考えました。日常生活ではなかなか出会えない貴重な仲間に出会えました。
私の人生のうちの、たった1万1700分の1でしかないこの9日間の旅で、初めての経験がいくつもあり、人生至上最高のなにかもたくさんあり、『旅は人生を豊かにする』という言葉の意味を、実感として知ることができました。」(2007参加、女性)
ただいま、今年の秋のユーコン企画の詰め段階。
昨年の参加者からの感想を読んで思い出す、北極圏キャンプ場の空気感。何もない、ただただ茫洋と広がりを見せるあの景色に、あれだけ心動かされる事実。でも、 有名な観光地など何もないそこは、「40万円の商品を販売する」という観点からみたら、笑っちゃうほど難しいのだが、でも、それに挑戦するに値する旅なのだ。 だから、今年も、やる。
・・・発表まもなく。
2008-03-25
風に流さず
あ、レンズにゴミがついてる。空が汚い。
*
長野から戻ったら、東京はもう春満開じゃないか。
季節がどんどん変わっていく。
*
「いちいち後ろを振り返る必要はないんですよ。前に進むその勢いあるエネルギーに対して、お客さんはついてくるんですから」
「一流になるにはセンスと才能が必要だけど、二流には誰でも努力でなれます。二流になれば、一流の人の世界と交流できるようになるし、理解できるようになるから、二流を目指せばいいんです」
「月が出た夜は、ヘッドライトもあえて消して、暗闇のなか山を歩いてごらんなさい。人間は、思っているより、能力があるのです。視覚で足りない部分は、聴覚が補ってくれるものです」
この青空の下で聞いた、ユアサさん のふとした言葉は、風に流してしまうには、もったいなかった。山や植物の名前は、すぐに忘れる私だが、こういう一言は、ちゃんと心にしまっておかねば、なのだ。
そして、古道フリークの私は、「塩の道」を日本海までMTBでいくのだ、という彼の企画に心惹かれる今日。
*
下のtestは、ケータイ投稿です。
この私が、そんな高度なテクニックを使えるようになったとは、むひひ。
2008-03-24
2008-03-21
2008-03-19
「おっぱい」は好きなだけ吸うがいい
・・・(前略)・・・
世間の人たちは目的を持ち、忙しがっているが
こっちは石ころみたいに頑固で鈍い
確かに私はひとり
他の人たちと違っているかもしれん。しかしね、
自分はいま、
あの大自然(タオ)の母親のおっぱいを
好きなだけ吸ってるんだ
こう知ってるから
平気なんだ、実際
いま、こうして吸ってるんだからね
2008-03-18
ラスベガスといえば
いいや。
ラスベガスといえば、「赤岩」だ。ラスベガスといえば、クライミングなんだってば。僕はアメリカ西部の赤岩が大好きなんだ、アメリカの岩はね、日本のそれとは全然違うんだよ、と、楽しそうに語る友。
ふーむ。
my adventure wish list
1. Mt.Denali
2. Patgonia Circuit
3. Redrock ← 初登場。
苦労せよ(自転車男便りその2)
(2回目の挑戦は)予想以上の出会いと美しさで、
苦労する価値はあることを知ってしまったのだ。
***
昨日の自転車男からの便り第二段。
この人は、あっちの景色を知っている。
***
旅行業界に身を染めながら、どうもその「駅スタンプラリー」のような、目的の景色をみて写真を撮ってオシマイという「観光」に、いつのまにか、違和感と歯がゆさを感じるようになってきた、のは
アラスカという無骨な大自然に出会ったからか、
歩く旅を始めたからか、
登る楽しみを覚えたからか、
まあ、きっと全部が重なってなのだけれど
一歩踏み込んだものだけが出会える
宝石のような瞬間は、
それはそれはため息ついてしまうような美しさで
だから、 次は、
普通の観光から抜け出して、
ちょっとだけ、苦労する旅を、してみようよ。
観客席に座ってないで、
立ち上がって、参加者になろうよ。
というスタンスの「旅」を、この自転車男みたいな骨太な冒険野郎でなくても、フツーの街の人にも、どうにかして味わってもらいたい私なのだった。
とりあえず、夏は、ここで。
2008-03-17
北極海へ向かう男(・・・自転車で)
彼の姿を最初にみかけたのは、フェアバンクスの街の中だった。
マイナス20度の道路というのは、雪だか凍った空気だか知らないが、シャラシャラと白い煙が舞い上がっているような状態で、歩くのだってイヤになっちゃうようなコンディション。その寒さのなか、大層な装備で、MTBにまたがった自転車男が、私の横をサーっと過ぎ去っていったのだった。
「は!?この真冬に自転車で旅してるの!??世の中には、いろんな人がいるもんだねぇ」と強烈な印象を残して去った彼は、それから数日後、再び私の前に姿を現した。今度は、自転車を降りた姿で。
「心がね、くじけちゃったんですよ。体は大丈夫なんですけど。夜中、鼻水たらしながらオーロラ見てたら、心折れて、もう無性に戻りたくなっちゃったんです」
と、人事のように淡々と話す彼は、社会人になる直前の春休みを利用し、自転車で、旅に出た、という。漕ぐ道は、フェアバンクスから北極海に向かって延びる、魔のダルトンハイウェイ。(わかんない人のために、地図。)車だって、よっぽど整備してないと走りたくない、レンタカーは(あまりの道の悪さに)もちろん禁止されているという、夏ならともかく、一番寒い真冬のこんな時期、石油背負った巨大トラックしか走っていないような、途中に補給できるような街なんてないような、地球最北の、道路。
2週間かけて北極海まで行こうと思ったんだけど、2日間で戻ってきちゃったんですよ、これから2週間、暇になっちゃたな。この街で何すればいいのかな、と、誰に言うでもなく呟きながら、植村直己の本を片手に、2週間分の行動食として大量に持っているであろうビーフジャーキーを、ぼおっと齧っていたところに、ばったり出くわしたのだ。
「少し休んで、アンカレジに南下すれば?道もきれいだし」
「カナダのホワイトホースまでっていうのもアリじゃない?」
「途中のコールドフットまで行って、飛行機で戻ってくるのもいいねぇ?北極圏も越せるよ」
なんて、無責任にいろいろ口出ししてしまった私だが、彼が、どういう形にせよ、このまま2週間、この街に居続けるとは思えなかった。北極海へ向かって再挑戦するのか、他の道を進むのか、そこまでは、出会ったばかりの私には、彼の気持ちは量りかねたが、でも、「何もしない」選択肢はないだろうな、と思わせた。それは、今となっては所在無さげに床に転がっている、大量の食料やスストーブや防寒ギアやキャンプ道具やらの、単なる思いつきでやってきたのではない、きっちりとした装備のせいで、それを揃えるまでの準備の時間と気持ちが、何より、この旅への意気込みを物語っている気がしたから。
自分の気持ちに素直に従って、止める選択をした、というのは、とても勇気あり素晴らしいことだと思うが、(厳しい自然と対峙しているとき、こういうときの直感はホントに大切!)、でも、諦めきれていないその表情を見ると、まだ心の中の種火が消えていないようで、その火はどうなっていくのかな、消えちゃうのかな、と、別れた後も、ずっと気になっていたのだ。
だから、
だから、
2週間後に、彼の「昨日、ダルトンHwy の終わり、北極海のデッドホースまで自転車こぎおわりました」という日記を見たときに、
まるで自分のことのように、彼の再チャレンジとその成功を嬉しく思った。彼の大きな「勇気」を、遠く離れた日本で受け取ったのだ。
自転車男よ、
おめでとう、そして、ありがとう!
2008-03-14
ご褒美はティファニーの青い箱
どうせ42キロ走るなら、箪笥の肥やしになるだけの、趣味イマイチ・・・なTシャツじゃなくて、ティファニーのネックレスもらうほうが、やる気がでるよね?ぶらさがった人参は、美味しいほうがいい。まあ、私のチャレンジは、ストイックなところからくるのでなく、所詮ミーハー精神なのだ、ということが、これでバレバレだ。今はどっぷり自然派なものの、数年前までは、ブランド大好きな街の娘だったのだから、しかたない、です。
この数年、「フルマラソン」という言葉がチラチラ頭の中によぎる私は、今週末の荒川マラソンは足の故障で申し込み損ねたのだが、東京マラソンは2年連続落選しているのだが、だからといって、決して諦めたわけではない。
で、この間、サンフランシスコで仕入れた情報が、この「ナイキ女子マラソン」。ご褒美はティファニーのネックレスで、途中の給食は美味しく、給水は水だけでなく酸素バーもあり、ゴスペル聖歌隊が応援してくれる。ゴール後はマッサージルームあり、ヨガ教室あり。
今までの経験上、アメリカの、こういうことへのエンターテインっぷりの凄さは、日本人はかなわないほどに徹底している。文化が違う。というわけで、この楽しさに便乗し、初マラソンは海外でお祭り気分、っていうのが、いいんじゃない?と考えるわけだ。
問題は、このマラソン、人気がありすぎるということで、枠が抽選なのだ。くじ運の女神にはことごとく嫌われている私だが、まあ、申し込むのはタダなので、申し込んでみたよ。
スケジュールをどうするか、とか、渡航費の捻出はどうするか、とか、っていうか、42キロも本当に走れるの、なんて疑問は、当選してから考えれば、よし!
ここで
「あら、ティファニー!?いいかもー。2008年、私も何か新しいことにチャレンジしたいかもー」と思った貴女へ、NWM情報です。
・決戦は10月19日(日)
・マラソン制限時間は6時間半。完走率80%。ハーフもあり。
・去年参加した方のレポート
・青い箱のご褒美
・コースマップ(pdf)
・申し込みは3月18日締め切り。結果発表4月1日。
申し込みはウエブから(英語のみ)
Nike Women's marathon
一緒に当選して、ぜひ一緒にティファニーもらいに行きましょう。サンフランシスコに吹く海の風は、つい、走り出してしまう爽やかさ。
もし・・・、私だけ落選したら・・・、多分にありそうだけど・・・、そのときは、旅行手配のお手伝いしますので、ご連絡ください。
***
走るといえば。
2008アウトドアクラブ・モーメント、トレイルラン部が始まるよ。
本当は、アスファルトの上より、土の上。
4月13日、奥多摩にて。
2008-03-10
ソフトクリームに勝る
湯河原の梅園は、関東圏では有名らしく、この週末も、たくさんの、そりゃあ、たくさんの人たちで賑わっていた。が、その99%は、出店で熱海ミカンと梅ソフトクリームを食べ、梅林の下を少し散策して、写真撮って、それで終わりなのだ。多分、そうだ。
もちろんそれでもいいのだけれど、せっかくこの場所には、岩がゴツゴツとしているので、その岩を使わない手はないと思うわけだ。
自分でできないなら、お金を払って安全を買えばいい。プロの手を借りればいいだけだ。たまたま通りかかった散策中のおじさんが、「ああ、すごいことやっているなあ」とつぶやいていたが、ロッククライミングだって、岩を選べば、誰にでも、初心者にでも、簡単に遊べるのだ。どこか遠くの、「すごい人たち」のやるものではなく、誰にでも!
そして、岩と遊ぶその1日中、春の太陽のじんわりとした暖かさとか、時折吹くまだ冷たい冬の風だとか、でもその風に乗って鼻の奥に届けられる梅の甘い香りだとか、を、体全部で感じられるわけで、その1日というのは、梅ソフトクリーム食べるよりも・・・、ずっと、味わい深い・・・
と、ソフトクリームを食べ損なった私は、強がりではなく、心から、そう思うのだよ。
***
同じように、カナディアンロッキーの大自然を味わうには、5つ星ホテル・シャトーレイクルイーズに優雅に宿泊(するのもいいけど)、という選択肢より、蚊柱と戦いながらのキャンプの方が、味わい深いと思うので、この夏は、カナダでトレッキングガイドとして、自然と対話する楽しみを、皆様とシェアしたいと思います。
2008-03-08
2008-03-07
春は心を躍らせる
ただいま東京。
改めて、この街の過ごしやすさに乾杯!
週末は、都会の「春」を体全部で味わってくるよ。一度、この感覚が味わえるようになると、地球のどこにいたって、すぐに、あっちの世界にワープできるようになるのだ。
「お金を得る」という手段と、私が今やっていきたいことは、なかなかリンクしづらいのだが、でも、リンクさせている知人たちも周囲には実際いるわけで、新しく方法を生み出せばよいだけなのだ。価値を信じて、ね。
とりあえず、週末申し込んでくださった方々と、今回快く協力してくれた大切な友に、心から、ありがとう、なのです。
***
「そもそもぼくは自分を回復しようとして、山小屋にこもるわけですけど、・・・本当にシンプルな生活をしていると、最初の10日くらいは、散歩にいっても、目に幕がかかっていてよく見えないんだけど、ある瞬間を境に、突然、自然や風景がじかに頭のなかに飛び込んでくるようになるんですね」
- 養老 孟司, 宮崎 駿
- 虫眼とアニ眼 (新潮文庫 み 39-1)