2011-08-07

必要なものは裏庭から盗ってこよう



ボンジュー!
フランス、シャモニに1ヶ月ぶりに戻って来た。
あー、好きだ、この村。


ここから二駅、モンブランから流れ落ちるボソン氷河の麓にあるのがセバスチャンの家。昨年購入した古民家を、自分の手で改築まっただ中。(だいたい、こっちにきて、「築2年」とかの、新しい家見たことないかも)




夏はガイド業が忙しいので、改装工事は中断中。トイレのドアはまだ立て掛けてあるだけ、キッチンは盥で、配線はそのままむき出し。





ああ、フランス人ってば、絶妙な美的感覚。壁の色が紫・・・。




セバスチャン。

ときにトレッキングガイドで、ときにアドベンチャー系レースの司会者の2足の草鞋をはく男。もともとは、科学館で星の解説員をしていたらしいのだが、「ああ、僕はこんな四角い箱の中にいちゃだめなんだ。本当の空をみなくちゃ」と、人生方向転換した(らしい)。

去年、山小屋に泊まっていたとき、外をぷらぷら散歩しながら、「このきれいな景色にあう曲を1曲プレゼントするよ」と渡してくれたiPod。イヤフォンから流れてきた音は in to the wildのサントラだった。シャモニに住みながらアラスカ行きを夢見るヤツと、波長があわないわけがない。ので、私たちは仲良し。

今回、1年ぶりの再会。


再会の乾杯は、去年、ずっと飲み続けたモヒート。

キューバ産ラムと、ミントと、砂糖と、レモン。
が、家にあったドライミントはあんまりいい味が出なかった。

「隣の空き地は昔、誰かの畑だったから、荒れ地になった今もいろんな野菜が自生してるんだ。きっと、ミントもあるよ、探しにいこう」

え、マジで?

70センチ四方くらいの、リビングの小さな窓からよいしょと裏庭(そこは絶景モンブラン・ビュー)へ忍び込み、荒れ地を捜索すること10分。途中、ブルーベリーとラズベリーとジャガイモは見つけたけれど、さすがにミントは生えてないよ、と諦めかけたそのとき、足下に。

ミント群生。
笑える。
ホントにあった。


フレッシュミントで作り直したカクテルは、
口いっぱいに爽やかな香りが広がって、モンブランモヒートと命名された。


地図を見ながら山の話で盛り上がる。
人がまだまだいない穴場を教えてもらいながら。

「シャモニーって、いいよねー。人も自然も。上手に同居してる感じが」
「だろう?だから僕はもう12年もここに住んでいるんだ。」






夜。

仲良しのエヴァと、彼女の飼い犬、ラブラドール・レトリーバーのジェドも合流し、ひとつ峠を越した隣の村Vallocineで車を降りる。

持ち物は、ダウンジャケット、トレッキングシューズ、ヘッドライト。駐車場から、かなり薄暗くなってきたトレイルを登ること20分。目指す先は、落差40mの滝の真上にある山小屋。BBQパーティが開かれていたこの夜、この小さな山小屋は、ローカルたちですでに大盛り上がり。ジェドが、愛想良く尻尾をパタパタ振って、輪の中に入っていく。そして、私たちも。


絶え間なく谷間に響き渡る水の轟音
ワイン
ソーセージ
またワイン
ギターの音色
ダンス

山の中のパーティは、
フランスらしく、夜中まで延々と続く。
ダラダラと、楽しい夜。

酒の席なのに、こんなにも山に囲まれて、森と水が手の届く場所にあるなんて幸せだー。

日付も変わる頃の夜道、満点の星空の下、私たちはジェドに先導され、「ヘッドライトなんて、本当はいらないんだ」と暗闇を暗闇のまま歩く。森の木々の隙間から、星が仄かに明るさをもたらしてくれるから。

森を抜けた頃、
「はっはっは。秘密兵器をお見せしよう」
と、セバスチャンがポケットから取り出したペンは、プロ用のレーザーライトで、5キロ先まで照らし出す強烈な緑色の光。5キロじゃない、星まで届く光。

「僕は前職、プラネタリウムの解説員だったんだぜ?」

天然プラネタリウムを見上げながら、
酔っぱらった頭で必死に
仏語と英語チャンポンの星座解説に耳を傾けた。



Vallocine BBQ night from ryoko aosaki on Vimeo.

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