無風、快晴、ひとりきり
緊張感と開放感にアドレナリンの興奮をプラスした
独特のこの感覚のなかで
1時間歩いては1時間休憩し
30分歩いてはまた1時間休憩し
下から沸き上がる雲に少しおびえて
次はまた1時間歩く
ベースキャンプから半日で往復できる距離を
丸一日かけてゆっくりと歩いた
山脈の奥にはローガンがそしてアラスカが
ここまでおいでよと手招き
いくら見続けても見飽きない景色が360度広がっていて
途中からカメラを取り出すことすら忘れてただ見入る
途中からカメラを取り出すことすら忘れてただ見入る
岩と雪だけの無機質な世界を彩るかのごとく
時折ワタリガラスがコロコロと歌いながら通り過ぎてゆく
青色絵の具を溶かしたかのような完璧な空を
非情な飛行機雲がまっ二つに引き裂き
山の彼方へ消えていった
「人生って素敵だね」
ここに来る前に会話した友人とのことばを反芻しながら
引き裂かれた空を見上げ寝転がる
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