2009-08-29

アラスカの女神様!



アラスカは日本の4倍の広さがある

といったって、

私が自分の意思で行けるのは、道路沿い(と、そこから歩いたって、せいぜい道から数十キロの半径)のみだから、

私の頭の中の「アラスカ地図」は相当に偏った作りになっている。つまり、南はキナイ半島から、北に向かって、アンカレジ、デナリ、フェアバンクス、そしてプルドーベイ。

「アラスカ大好き」なんて言っておきながら、笑っちゃう恥ずかしい事実だけれど、そんなものだった。

たとえば、海に呑み込まれそうだという、ベーリング海沿いの「シシュマレフ」という先住民村の、その名前は知っていようと、それはあくまでも星野道夫の本のなかにでてくる、おとぎ話・・・、遠い遠い世界の、あんまり現実感のない話で、

定期便が飛んでいない、チャーターセスナ機でしか辿り着けないような陸の孤島は、本か写真集で出会うべき場所で、まさか自分が降り立つ場所だとは、これっぽっちも思ってやしなかった。

2週間前までは。





2年前、金銭的不自由と引き替えに、時間的自由を手に入れた私は、今回のシーカヤックツアー添乗後、時間をつくって、一人、ゆっくりとバックパッキングを楽しもうと画策していた。誰かに連れて行ってもらう旅は終わりにして、自分の意思で、この大地を味わおうと思っていた・・・のだが、それは叶わなず。その代わりに。


アラスカの女神様が、私の、この大地への揺るぎない愛情を汲み取って、ふっ、と、微笑んでくれたのだ。本当に、人生は、何がどこでどう転がるのか分からない。


どうして私がそこに関われるのか、今でもさっぱり不明だが、大学の「永久凍土研究プロジェクト」のアシスタントのアシスタント(・・・結果的には、邪魔しただけで何の役にもたっていない・・・)として、「飛行機で先住民の村を回り、地中温度のデータを採取せよ」というミッションが、手のひらに舞い降りてきた。

クジ運の弱さは折り紙付きな私が、ここに来て、まさかの大逆転だ。この一度で、一生涯の運を使い果たしてしまったかのような、興奮する話じゃないか。


もう、
年末ジャンボ宝くじが一生当たらなくても
中野商店街アーケードの歳末福引きで残念賞のアメしかもらえなくても
ガリガリ君のあたり棒が出なくても

何の文句も言いますまい。




今から始まるのは、1週間かけて

名前も聞いたことがないような小さな村への訪問 12箇所
無事着陸しますようにと祈った(フライト)数 17回
上空からアラスカの原野を味わった(フライト)時間 22時間
有視界飛行なのにこんな雲の中飛んでいいの、死ぬかと思った回数 4回
こんな乱気流のなか飛ぶの、涙目でエチケット袋ありがとうな回数 2回
この地球ってどんな奇跡なんだろうと感無量だった回数 数知れず


の、(けっこう体をはった)不思議な空の旅の物語。

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