2008-02-21

北の大地便り#4 森の生活





本日マイナス5度(20F)。屋根の雪が解けてきて、どうにも暖かです。
「この時期はマイナス18度(0F)くらいがちょうどいいのに、暑すぎだ!」 と嘆くアラスカン(フェアバンクス人)の気持ちが、少しずつ理解できはじめて きたアラスカ生活1週間目。

ここ数日、森に入ってました。

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ヘンリー・ソローの「森の生活」。

あれはもう100年前の本だと思うけれど、この地には、この現代の今でも、「森の生活」を送ろうと思えば送れるし、実際に送っている人たちがいる。森(ブッシュ)の中でひっそりと、自給自足に近い生活をしながら暮らしている。数ヶ月に一度しか街にでてこず、その気になれば、年間1000ドルで生活することも可能なのだそうだ。街にでるとお金を使うだけなので、森にいると決めたら、ずっと森に籠もっている方がいい、と、彼らは言う。

お金を使わない、ということは、全部を自分で作り出す、直す、処理する、手に入れる、ということで、家から野菜まで自分の手で工夫して作ってしまうその器用さを目の当たりにすると、器用さを捨ててお金で手に入れる都市生活をする私は、舌を巻くばかりだ。都市生活者って、去勢されてるよな・・・自分も含めて。生き抜く逞しさ、を手放している、というか。

原野への憧れは、去勢された者の遠吠えでもある。



今回は、そんな森の中に立つ家にお邪魔して、道作りを手伝って・・・手伝おうとして、邪魔なだけなのに3分後に気づき・・・見学してきた。

道から離れた森の中に家をつくってしまった彼らは、物資を運ぶために、鉈を振るって、自ら、道をつくってしまう。そのトレイルが、このたび、州の地図に載ることになり、役人のチェックが入る前に、再度、整備しにいかなくちゃ、というので、のこのこついて行って、原野生活体験を覗かせてもらってきた。数日間という限られた時間なら、厳しさとも無縁で、楽しいだけの、ままごと原野生活。

***

それにしても、
文明社会から10キロ離れた森の生活は、びっくりするほど静か、だ。
鳥のはばたく羽音が、
厚い氷の下に流れる川の音が、
はっきりと、耳に届くほどに。
静かなようで、実は賑やかに、森は歌っている。

昨晩は、
オレンジ色の、
小さな
でも温かな光のガスランタンの下で、
シューシューというやわらかな音を聞きながら、
ゆっくりとオーロラを待った。


(・・・が、雲が切れずに、午前2時、諦める。現実は、物語のようにうまくはいかない)



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