2008-07-07

ワタリガラスの物語

短い夏を味わいつくすため、最近の話題は、どうも外遊びの話ばかりが続く。・・・が、ここは、自然と生活が一体化している場所なので、自然の声をもっと詳細に聞けるよう、地味に本を読む時間も、忘れずにつくっていきたい。


カナディアンロッキーの大御所、Ben Gaddが書いた、「Raven's End」は、人格もったワタリガラスが、この場所を生きる物語。細かな描写に惚れ惚れしてしまう。

彼のように、「美しい」「きれい」「素晴らしい」という直接的な単語を使わずに、この場所を目にしていない人に、この場所の「美しさ」を届けるには、背後の事実をよく知り、愛情を持って見つめる、ってことなのかなー。





Revenのコリン君「こんにちは。ぼくは、きみが何者なのか知りたいんだけど・・・」
Pika 「ぼくはピカ。野ウサギの親戚のようなものです」
R「きみの名前は?」
P「オコトナ。すべてのピカが、オコトナと名のっている。ピカは、個々の名前を持つほど、長く生きないんだ。恐ろしくはないよ。それが世界の法則だから」
R「きみは死んだ後のことを心配したことはないのかい?」
P「私が死んだ後でも、たくさんのピカがまだ生きている。ピカネス・・・ピカの本質は続いていく。私たちはみんな本当に同じ。
R「「ピカネス」がきみにとって一番大切なことなんだね?君自身の生活よりも?」
P「その通り。私たちの誰かが死んでも、ピカネスは続いていく」



季節は春まっさかり、夏に向かってまっしぐら。甘い樹液が茂みや樹木から流れはじめ、アスペンの芽はポンとはじけて開き、葉は大きく広がった。ぼんやりとしていた針葉樹の針のような葉は、濃い緑になった。



太陽の周期は、夏至に向かって早まっていた。夜明けは早くなり、太陽ははるか北から昇るようになった。太陽は毎日、空の南半分に高く弧を描き、毎晩、長い時間をかけて、西の水平線に到着した。そして緩い角度で、カナディアンロッキーの、波のような尾根をかすめて、世界の端に向かって滑り降り、山の海の中に消えた。







日本語版もあるよ

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