「本来あるべきところにあるはずのものが、その場所から引き離された時、魔法の力は失われてしまうのよ。トーテムポールは、大地に根付いていてはじめて神話を語るの」
トーテムポールを守っているハイダ族の女性は、こう言ったという。
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ここ、カナディアンロッキーに来てからというもの、何の贅沢もせず、爪に火をともすほどの節約生活に励んでいる。(自由の代償だ。)故に、ほとんど買い物はしていない。・・・していないのだが、唯一、早い時期に購入したのは、このワタリガラスのペンダントヘッドだった。店に入った瞬間に、カラスと目があってしまったのだから、しかたない。お持ち帰りしなくては。
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人間とは何て身勝手なものか、と思う。
東京生活から比べたら、ここ、カナディアンロッキーは天国だ。ドライで涼しい気候、青く広い空、無数に続くトレイル、自然の近さ。
それでも、ふとした瞬間に、東京の家を懐かしく思い、毎年行っていた夏のアラスカの骨太な自然を恋しく思う。遠く離れたいくつかの場所に、思いを馳せては、「ここではないどこか」に、恋い焦がれてしまうなんて。
それでも、ふとした瞬間に、東京の家を懐かしく思い、毎年行っていた夏のアラスカの骨太な自然を恋しく思う。遠く離れたいくつかの場所に、思いを馳せては、「ここではないどこか」に、恋い焦がれてしまうなんて。
きっと、別の場所に行けば、この地層丸出しの石灰岩の岩山を、恋しく思うに決まっている。ここが懐かしくなるに決まっている。
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それでも、微妙な座りの悪さを感じている今、自分の内なる声に従って、この場所を一旦離れよう、と決めた。
それでも、微妙な座りの悪さを感じている今、自分の内なる声に従って、この場所を一旦離れよう、と決めた。
行く先は、ロッキー山脈を越えてずっと西にある島、へ。それもこれも、友人が、会うたびに「いいよいいよいいよ絶対に気に入るから行くべきだよ」と囁くからいけないのだ。ここ数年、気になってしかたなかったあの島は、ここからなら、そう遠くはない。
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島が私の場所かどうかはまだ分からない。が、でも、アラスカのすぐ南にあるその島には、何かがある気がするのだ。早いところ、魔法の力を取り戻さなくては。
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島が私の場所かどうかはまだ分からない。が、でも、アラスカのすぐ南にあるその島には、何かがある気がするのだ。早いところ、魔法の力を取り戻さなくては。
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というわけで、急遽、明日の夜、カナディアンロッキーから次の場所へ旅立ちます。
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