2009.8 Seward, Alaska
ガヴァルニー(Gavarnie)、トルムーズ(Cirque de Troumouse)、コトゥレ(Cauterets)、ポンデスパーニュ(Pond' Espagne) 、アルジュレスガゾスト(Argeles-Gazost)、ビニュマール(Vignemale) 、アラン(Val d' Aran)・・・
呪文のようなこの単語の羅列は、 フランスとスペインの国境地帯、ピレネー山脈の世界遺産となっている付近の地名。 来月この地を歩くことになった私は、久々のヨーロッパの錆び付いた知識を掘り起こしながら日々下調べをしているが、コトゥレなんて人口50人、正直、すごく地味な場所だと思う。
いや、ヨーロッパ好きハイキング好きにとっては、世界遺産のここは有名な場所なのか?
*
一方で、アラスカの地名は、その字面を見るだけで心躍る。この単語が示唆する世界が手に取るように脳裏に思い浮かぶから。
ターナゲン入り江(Turnagain Arm)、ガードウッド(Girdwood)、ポーテージ(Portage)、スワード(Seward)、エグジット氷河(Exit Glacier)、キナイフィヨルド国立公園(Kenai Fjord NP)、アリアック湾(Aliak Bay)、ノースウエスタンフィヨルド(Northwestern Fjord)
それは、あの
空港を降り立った瞬間に肌を刺すあのキーンと清々しい空気感
温帯雨林っぽい意外と緑緑した背の高い森
霧が似合う魚臭い村
ボートで3時間、クジラやイルカやトドやパフィンやラッコの出迎えを受けながらフィヨルドの奥深くへ入って行くときの高揚感
野生動物だけが持つ迫力あるオーラ
色の波長が短いから反射してるだけなんだと分かってても吸い込まれそうな氷河ブルーの色
氷河の海にカヤックで浮かぶとぷちぷち炭酸の音がすること
氷河が崩れるときは雷のような轟き音
野生のブルーベリーの舌の上に広がる酸っぱく甘い感触
私にとっては当たり前のあの場所は、知らぬ人にはその地名はただの呪文
「アラスカ、氷河の海をカヤックで漕ぐ」
このことばの裏に潜んでいるシンプルで深い時間を、 アラスカも氷河も、いやキャンプやカヤックも知らないかもしれない人に伝えようとするのは、なんと難しいことだろう。
わたしのことばは、まだまだ足りない
「アラスカ、氷河の海をカヤックで漕ぐ」8月
6/14〆切
http://www.expl.co.jp/shugaku/kikaku/10/anc_s/index.html
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